イスラエルにとって、それは一時的な外交摩擦では済まず、自国の安全保障そのものを揺さぶる問題になる。なぜなら、オバマ政権がイスラエルと結んだ10年総額400億ドル規模の軍事支援覚書が、2028年に失効するからだ。

皮肉なことにネタニヤフが批判し、トランプが敵視したオバマ政権こそが、イスラエルの軍事的優位を支えていた。今度はトランプがその交渉の相手となるが、ここにイスラエルのもろさがある。

6月にフランスで開かれたG7後の会見で、トランプはネタニヤフとの良好な関係を強調しつつも、イスラエルを「スモールパートナー」、アメリカを「ビッグパートナー」と表現した。

アメリカが決め、イスラエルがそれに従うという主従関係に近い構図だ。バンス米副大統領はさらに露骨だった。停戦合意をまとめたトランプを全面的に擁護し、合意を批判するイスラエルの極右閣僚を牽制しただけでなく、アメリカへの感謝を求めた。

トランプ政権はイスラエルに敵対的だというわけではない。むしろ親イスラエル姿勢を貫いてきたが、それが歴代政権のようなイデオロギー的な結び付きに支えられていないところにもろさがある。

あるアラブ系アナリストは「バイデンがイスラエルを見捨てることは絶対にないが、トランプのそうする姿は簡単に想像できる」と語ったが、トランプにとって同盟とは、価値観の共有ではなく取引の対象だ。利益になる限り支えるが、負担が重くなれば距離を置く。

共和党の親イスラエル議員は停戦合意に不満を示す一方、親トランプ陣営からはイスラエルへの支援に懐疑的な声も上がる。

ネタニヤフはこの空気を察し、今後10年でアメリカからの軍事支援をゼロにすると強がるが、自国の世論と政治的利益を優先するトランプほど、厄介な相手はいない。

アメリカという絶対的な後ろ盾
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