<イスラエルの誤算か? 既に次の段階に入った中東における、新たなプレーヤーについて>

近年の中東再編の主役はイスラエルだった。

軍事的優位性を持つイスラエルとアラブ諸国が連携することで、イランに対抗する新秩序を築く。そしてパレスチナ問題を棚上げにしたまま最大の敵国であるイランに対抗できれば、イスラエルにとっては一石二鳥──

これが2020年に第1次トランプ政権が仲介して実現した「アブラハム合意」の大きな流れであった。しかし、その構想が揺らぐ今、イスラエルを踏み台にして空白を埋めようとしているのがトルコである。

イスラエルにとっては、サウジアラビアとの国交正常化が「アブラハム合意の完成」であった。人口増加が続く巨大市場であるイスラム世界での経済的・戦略的拡大が実現すれば、外交的飛躍となるはずだった。

だが23年10月7日のイスラム組織ハマスによる大規模攻撃以降、情勢は反転。国交正常化が秒読みとみられていたサウジはパレスチナ問題の解決を前提条件に掲げ、イスラエルに対して強硬姿勢を見せるようになる。

この局面で存在感を高めたのがトルコだ。

独自の外交空間を形成してきたトルコ