その第2次トランプ政権はアブラハム合意の拡大を目指したが、現時点で参加が見込まれるのは、既にイスラエルと国交を持つカザフスタンやアゼルバイジャンにとどまるとの見方が強い。地域秩序を塗り替えるような広がりは期待しにくく、合意は拡張の踊り場に差しかかっている。

イスラエルにとっては、サウジとの国交正常化が最大の目標だったが、そのチャンスを逸した今、イランなどへの強硬路線を通じて別の地域秩序を構築しようとしているようにみえる。

しかし、ネタニヤフにとって外交は常に国内政治と不可分だ。トランプとの個人的関係をてこに、ネタニヤフが自身の政治的生き残りを懸ける戦略を選ぶ可能性は高い。

中東の再編は、イランへの対抗を念頭にイスラエルを含めた統合構想から、多極的に勢力が競合する局面へと移行しつつある。なかでもトルコは軍事力、地政学的位置、外交的柔軟性を背景に、地域秩序を左右するプレーヤーへと踏み出そうとしている。

パレスチナ問題はもはや一地域の紛争ではなく、国際政治の分断軸となり、地域統合と対立は既に新たな段階に入っている。

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