アプリの利用状況やSNSでの知らない相手との交流を全てチェック──わが子のスマホ活動を管理するのは不可能に近い任務だ。小さな画面の中には無限のオンライン空間が広がり、ネット特有のリスクであふれ返っている。
これを親に任せるのは無理があると、判断する国が増えている。その一例がイギリスだ。スターマー英首相は6月15日、来年春をめどに、16歳未満のソーシャルメディアアプリ利用禁止措置を施行すると発表。
対象アプリの詳細はまだ不明だが、ゲームサイトなどで知らない人に連絡する機能も、16歳未満に対しては制限されるという。
オーストラリアは既に昨年12月、16歳未満を対象に同様の措置を施行。欧州の一部の国も後に続く可能性がある。これらの国々を突き動かしているのは、子供のメンタルヘルスや安全が長期的にむしばまれることへの危惧だ。
イギリスの対応は明快で、プラットフォーム企業に「ノー」を突き付けた。対照的にアメリカでは親に責任が丸投げされている。
多くのアメリカ人は子供のSNS利用に関して「放任主義」を望んでおらず、政府の対応と食い違いが生じている。
米ピュー・リサーチセンターが2023年に行った調査では、未成年者のアカウント開設に保護者の同意を義務付けることに賛成する成人の割合が81%に達した。年齢確認や利用時間の制限を支持する人も過半数に上る。
一方、禁止措置は迂回可能で、新手のプライバシーリスクを招いたり、少年少女をより危ういオンライン領域に追いやる恐れがあると警告する声もある。
イギリスの措置は完全とは言えず、そのまま模倣すべきではない。それでも、SNSをつくり出した企業に責任の一端を負わせている点には正当性がある。
現在のアメリカは、権限を与えないまま親に責任だけを押し付け、それを「自由」と呼んでいる。
超大国の現在地と「トランプ後」の世界