フィリピンは慎重に計算された選挙戦を通じ、国際法遵守と平和的な紛争解決に尽力する非同盟国家として自国をアピール。パレスチナ問題では2国家解決を支持し、中東情勢の緊張緩和に向けた交渉を呼びかけ、イランとの外交ルートも維持した。南シナ海をめぐる中国との紛争については、16年の仲裁判断を例に取り、自分たちは国際法手続きを重視していると訴えた。

一方、キルギスは異なる戦略を取った。地政学的には中国とロシアの影響下にあるが、アメリカのご機嫌も伺うべく、投票前にエディル・バイサロフ副首相が特別全権大使としてワシントンに向かった。大国に働きかけただけではない。ジェエンベク・クルバエフ外相は中南米、アフリカ、中東諸国の支持を取り付け、イスラム協力機構(OIC)の支持も確保した。

今回の選挙ではドイツも苦い敗北を喫した。「西欧・その他」枠(2カ国選出)でポルトガルとオーストリアに敗れたのだ。

第2次トランプ政権下でアメリカの国連における影響力は目に見えて低下している。この状況下でトランプ政権と親密な関係にあると見なされたフィリピンとドイツは手痛い代償を払うことになった。

フィリピンにとって、この傾向は南シナ海問題との関連で特に大きな意味を持つ。フィリピンが安保理の一員となれば、海洋安全保障に関する議題設定への関与や、国連海洋法条約に反する中国の行動への国際的な監視強化につながる制度的基盤を得られる。

ただ、この見通しが中国の反発を招いたようだ。中国はフィリピンの敗北が自国の戦略的利益にかなうと判断し、キルギスを後押しする外交努力を展開したと推測できる。

背後に中国の工作