キルギスが国連総会の共感を集めやすい論点を打ち出した点も同国の勝利の一因となった。中央アジア諸国や内陸の小規模な途上国は非常任理事国の持ち回り枠で十分な議席を確保できておらず、その事実が安保理の「普遍的な権威」の理念を損なっているという訴えだ。サディル・ジャパロフ大統領は中央アジアが建設的な役割を果たせる根拠として、同地域での平和的な国境紛争解決の経験を挙げ、この主張を強調した。

一方、フィリピンのマリア・テレサ・ラザロ外相は1960年代以降、延べ1万5000人の国連平和維持要員を派遣してきた実績や、紛争仲介への貢献を強調した。だがキルギスとの比較で自国の適格性をアピールすることに重点を置いた結果、安保理内にグローバルサウスの代表を増やすという本質的な要求に応えることができなかった。

今回の敗北によってフィリピンの実績や国際秩序への貢献に傷が付くわけではないが、同国の外交戦略が抱える構造的な弱点が浮かび上がったのは事実だ。近年のフィリピンはルールに基づく多国間主義や国際法遵守を外交の柱とする一方、多くの国連加盟国が複雑な感情や警戒心を抱く同盟関係の強化も進めてきた。

この2つは本来、相反するものではない。だが両者の緊張関係を調整し、非同盟国から戦略的に様子見をする国、中国に好意的な国まで多様な相手から理解を得るという難題をフィリピンが克服できたとは言い難い。

フィリピンにとって最も現実的な選択肢は「二本立て戦略」の継続だ。多国間の場で外交関与を続ける一方、中国の脅威を共有する国との2国間および少数国間の協力を深める道である。

多国間主義への信頼低下の表れか