IMFに支援を仰ぎ、納税者に大増税と歳出削減をのませる
IMFに助けを乞わなくても英国は危機を乗り切るための「処方箋」を十分に理解している。経済成長に期待できない英国が財政を立て直すための手段は「大増税」か「公共サービスや福祉予算を大幅に削る」か、日本のようにインフレ誘導で実質的な債務を軽くしていくしかない。
企業の取締役会は「今の経営トップをクビにしなければ会社が潰れる」と分かっていても、内部から切り出すと恨みや反発を買う。そこで大金を払ってわざわざ外部のコンサルに調査を依頼し、トップを解任すべきだとの報告書を出してもらってからクビにする。
それと同じで英国政府も二進も三進も行かなくなってからIMFに支援を仰ぎ、納税者に大増税と歳出削減という苦い薬を飲ませる可能性があるとロゴフ氏はいう。英国予算責任局(OBR)元職員チャーリー・ビーン氏も「無視できない考慮すべき現実的なリスク」と同紙に語っている。
「3兆ポンドの債務の壁」と構造的な成長失速に対する懸念
バーナム氏は過去に「国債市場の操り人形になる必要はない」と発言し、社会的ケアの拡充や大規模な産業国有化を掲げ、市場を動揺させた。投資家の不安心理を和らげるため、バーナム氏はリーブス氏の財政規律を順守する姿勢を示し、火消しに努めた。
バーナム氏の政策は「民営化された英国の失敗」に対する処方箋として提示されている。しかし現時点で財政的裏付けは曖昧であり、スローガン先行のアプローチは英国国債の利回りを引き上げる「政治的リスク」と市場に警戒されている。
「3兆ポンドの壁」と構造的な成長失速に対する懸念は完全には払拭されておらず、英国経済は薄氷の上を進む。英国政府が真に必要な財政健全化に乗り出すには、国債入札の失敗や利回り急騰といったショックが必要なのかもしれない。