執行部に公然と反旗を翻した

今回の5選は、呉の能力やカリスマ性よりメッセージ戦略のたまものだ。選挙戦では「ソウルを政権牽制の最後の砦として守ってほしい」と訴え続けた。

李在明(イ・ジェミョン)大統領が属する革新系の「共に民主党」は、国会でも多数派を占めていて、今回の地方選でも圧勝が予想されていた。呉はそのような状況の下で、行政府と立法府による権力乱用に立ち向かう最後の保守政治家としての立場を鮮明にしたのである。

もう1つ注目すべきなのは、所属する国民の力の執行部に公然と反旗を翻したことだ。呉は「党の変化への姿勢と決意に説得力がない」と主張し、24年12月の非常戒厳をめぐる騒動で失職した同党出身の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領ときっぱり決別することを求めた。

党執行部は当初、呉を批判し、市長としての実績に疑問を投げかけるなどしていたが、ほかに市長選の有力候補が見当たらず、最終的に譲歩した。国民の力は尹支持派との決別を宣言し、呉は同党の候補として市長選に出馬した。

呉の勝因としては、巧みなメッセージ戦略に加えて、有権者が継続性を望んだことも挙げられる。

呉は20年以上にわたり有権者になじみのある存在であり、政治に詳しくない人たちにとって無難な選択肢に見えたのだろう。リベラル派の好感度も比較的高い。それに、記録的な物価高の中で、ソウル市民の間では、新しい市長の新しい政策が負担増を招くことへの警戒心が強い。

継続性の象徴