数週間前からさまざまな場で再審制度を見直す刑事訴訟法改正案が議論されている。非常に専門的な話が多いため、「意義が分からない」と思う国民が少なくないと思う。
訴訟法は人ごとに見えがちだが、そうではない。誰でも突然、冤罪事件に巻き込まれるリスクがある。冤罪で有罪判決が確定したら、再審請求するしか助かる方法はない。ただ、再審請求中の事件や再審で無罪になった人々の歩みから分かるように、再審開始までは数十年かかる。あり得ない話だ。
再審改正法が必要だと思う弁護人、国家議員らが訴え続け、ようやく法案が国会で議論されているが、望ましい法案ではない。問題点を2つだけ取り上げたいと思う。
1点目は検察による抗告の可否。現行法では再審開始が決定された後、検察の不服申し立て(抗告)が可能だ。高裁は、再審開始決定を取り消すことができる。恐ろしいことに2回目、3回目の請求をしても、同じことが起きるリスクがある。
代表的な例は、今年1月に5回目の再審請求が提出された大崎事件。殺人などの罪で逮捕された当時52歳だった原口アヤ子さんも、今月99歳になる。10年間の服役後に再審請求を続けてきたがこの間、捜査機関により「隠されていた証拠」が明るみに出て、裁判所は再審開始の判断を計3回認めた。でも、やり直しの裁判すら始まらない。
なぜそんな状況に? 再審開始は「開かずの扉だ」と大崎事件を担当する鴨志田祐美弁護士はいつも言う。原因は「検察による抗告」だ。これを全面的に禁止すべきだと、再審で無罪になった袴田巌さんの姉のひで子さん、弁護団や元裁判官などが要求している。
自民党の稲田朋美氏をはじめとする多くの衆議院議員も同じことを強調している。にもかかわらず、法務省は「原則禁止。例外を認める」にとどまる。