※この記事は後編です。前編「アメリカ出身の『物言う教皇』レオ14世とトランプの対立…カトリック票の離反と揺れる米政治」はリンクからご覧ください。
トランプと教皇の対立は、共和党の抱える戦略的な課題を浮き彫りにしている。24年の大統領選でトランプは、近年の共和党候補の中では飛び抜けて高いヒスパニック票の得票率を記録した。特にテキサス州やアリゾナ州、ネバダ州、フロリダ州の労働者階級の男性の支持を集めた。だがカトリックとトランプの「連携」は決して盤石ではなかった。
もともとアメリカには、カトリック信徒の国家への忠誠心に対する不信感が、政治に大きな影響を及ぼしてきたという長い歴史がある。1850年代のノウ・ナッシング党や1920年代のKKK(クー・クラックス・クラン)がカトリックを排斥したのも、60年の大統領選挙でカトリックのジョン・F・ケネディに対してプロテスタントの反発が起きたのも、そうした不信感が背景にあった。カトリック信徒の最終的な忠誠の対象は教皇であり、アメリカの主権への脅威だというわけだ。
とはいうものの、トランプが攻撃している教皇はシカゴに生まれ中西部で育ち、アメリカ国民に広く親しまれている人物だ。トランプがレオ14世を攻撃するということは、アメリカ人の同胞を、しかも自分よりもはるかに人気の高い人物を攻撃することにほかならない。CNNのアナリスト、ハリー・エンテンは「大統領はアメリカで最も人気のある人物を攻撃するという、特大の過ちを犯していると思う」と言い切った。
トランプと教皇の衝突の裏で、トランプを大統領に押し上げた政治運動にも亀裂が生じている。トランプ当選のために手を組んだキリスト教徒の2つのグループ、つまりカトリックと福音派が争っているのだ。