米政権が「アビニョン捕囚」をちらつかせる?
今年1月末、米国防総省の高官がバチカンの米特使に個人的に接触した(接触があったことは双方とも認めている)。ヘールがバチカン関係者から聞いた話によると、バチカン側はこの接触を通じて「今後行う軍事行動を支持してほしいと米政権に要請された」と受け止めたという。国防総省高官は14世紀にフランス王が教皇を監視下に置いた「アビニョン捕囚」をほのめかし、圧力をかけたと、複数のメディアが報じている。
トランプ政権はそうした報道をはっきりと否定している。国防総省の報道官は本誌にこう述べた。「国防総省とバチカン当局者との会合は、礼儀をわきまえたまっとうな話し合いだった。教皇庁に対しわれわれが抱いているのは深い尊敬の念にほかならず、対話の継続を歓迎する」
対立の構図が誰の目にも明らかになったのは4月12日、CBSの報道番組『60ミニッツ』でアメリカの3人の枢機卿が合同インタビューを受けた時のことだ。
枢機卿の1人は対イラン戦争はカトリックの教えに照らして「正当な戦争ではない」と断じ、「正義と平和の回復という限定的な目的のため」という、教会が定めた軍事行動の要件を満たしていないと指摘した。トランプが教皇を批判する文章を投稿したのは、このインタビューが放映された直後のことだった。
CBSの報道番組『60ミニッツ』合同インタビュー
翌日、枢機卿の発言について問われたJ・D・バンス副大統領は、その後のトランプ政権の主張の柱となるコメントを口にした。「場合によっては、バチカンは道徳的な問題やカトリック教会の内部の問題に専念し、アメリカの公共政策はアメリカ大統領に任せるのが最善なこともあると私は考える」