テイラールールに沿った判断が重視されるべき

政策金利がプラスの領域で定着しつつあるのだから、日銀の政策判断は、標準的なテイラールール(編集部注:米経済学者ジョン・ブライアン・テイラーが提唱した政策金利の適正値をマクロ経済の指標を基に決める方程式)に沿った判断が重視されるべきだと筆者は考えている。

この場合、将来のインフレや成長率が上振れる可能性が高まっているなら、将来のインフレを抑制するための引き締めが当然ながら正当化される。例えばFRB(米連邦準備制度理事会)は、雇用統計やインフレの経済統計を評価した上で、いわゆるデータ動向を見極めながら、インフレリスクを判断して利上げ・利下げの判断を行っている。

日銀もFRBと同様に、経済・インフレリスクを考慮して政策判断を行うべきであり、先述したがコアベースのインフレ率が下振れている中では、利上げは正当化されないはずだ。

最後に付け加えると、大幅な円安の問題は小さいと筆者は考えているが、今の円安水準が永続するとは予想していない。日本の経済成長がより高まり、2%インフレが定着すれば、日銀は3年後までには政策金利を少なくとも2%程度まで引き上げるとみられる。

ただ、実態経済に見合わない急ピッチな利上げが行われれば、経済成長は失速する。そうなれば、日銀の利上げは1%程度で終わり、現在の大幅な円安は永続するだろう。

大幅な円安から抜け出すためには、経済成長率をさらに高める金融財政政策を徹底することが必要なのである。言うまでもないが、為替水準を目標にする金融政策運営はナンセンスである。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)

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