<ライトな親しみやすさからブラジル直送の本格派まで。韓国ボサノバの豊かな裾野を探る>
近年のポピュラーミュージックシーンでは異国情緒のあるダンスポップが人気だ。どの国・地域のヒットチャートでも、この手のものが上位に入るケースがめずらしくない。K-POPの世界でも同様だが、特にラテン音楽の遺伝子を受け継ぐ「ボサノバ」はもっとも長く親しまれているジャンルだろう。
ボサノバは日本語に訳すと“新しい傾向”、もしくは“新しい感覚”。ブラジルの伝統音楽・サンバをベースに作られたサウンドだが、テンポはサンバよりも遅く、メロディラインは穏やかだ。1950年代にリオデジャネイロで生まれたこのスタイルは、のちにジャズ系のミュージシャンたちが取り入れたのを機に世界へ広がっていった。最初にヒットしたボサノバの楽曲は、ジョアン・ジルベルト「想いあふれて」(1958年)と言われている。
韓国でもボサノバは、現地の大衆音楽がK-POPと呼ばれる以前から主にフォーク系のアーティストを中心に支持されてきた。ダンスミュージックがメインストリームとなった90年代後半以降でも一定の人気はあり、トレンドに関係なく好まれるジャンルとして(ゆっくりではあるが)定着していった。ちなみにK-POPの黎明期では、“決して本格的ではないライト感覚のボサノバ”が好まれ、かつて一世を風靡したアイドルグループ・Young Turks Clubの「他人」(1997年)は、こうした傾向を如実に表した1曲と言えよう。