価格安定のために世界に輸出

最近の在庫減少の大部分は、米国がSPRから供給を放出したことによるものだ。トランプ政権は3月、世界的な「エネルギー価格引き下げ」策の一環として、120日間で約1億7200万バレルを放出すると発表した。

トランプはこの措置について、戦争による経済的影響を和らげるために必要だと主張し、後で価格が下落すれば備蓄を補充できると説明した。しかし、この方針は、かつてトランプ自身が前任者を批判した政策と重なる。

2022年、ジョー・バイデン大統領は、ロシアによるウクライナ全面侵攻後の燃料価格高騰に対応するため、SPR史上最大となる約1億8000万バレルの放出を命じた。

当時、トランプや共和党は、備蓄は価格管理ではなく緊急事態のために維持されるべきだとして、バイデンの措置を「石油とガソリン価格を下げようとする無駄な試み」と批判していた。

しかし現在、戦時下の供給ショックと燃料価格上昇に直面したトランプ政権は、地政学的背景こそ異なるものの、バイデンと同じ手段を使っている。

経済学者で国際貿易の専門家でもあるウィリー・C・シーは本誌に対し、「SPR放出による価格抑制効果は消費者が体感するほど大きなものにはなっていないにもかかわらず、備蓄はかなり速いペースで減少している」と指摘する。「イラン情勢が近いうちに解決しなければ、備蓄の大半を使い切る可能性もある」

アジアや欧州が米国より深刻なエネルギー危機に直面するなか、米国はここ数週間、輸出を過去最高水準まで増やし、世界市場の安定化に乗り出している。

しかし一部からは、緊急備蓄は国内に留め、国内価格高騰の抑制に使うべきだとの批判も出ている。

石油禁輸なら世界恐慌も
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