<公式統計は重要な判断材料だが、その数字だけでは見えない脅威も多い。現地の統治能力や政治的事情、未遂事件の扱いなど、統計の限界を踏まえたリスク評価のあり方を解説>
自由貿易、経済のグローバル化といわれた時代が勢いを失い、経済安全保障の重要性が叫ばれる今日、日本企業を取り巻く国際環境は大きく変化している。
地政学的緊張の高まりやサプライチェーンの分断リスクを背景に、多くの企業が従来の製造拠点や市場の再編を余儀なくされており、その受け皿としてグローバルサウス諸国の重要性が高まっている。豊富な労働力や成長市場を抱えるこれらの新興国・途上国は、新たな成長の源泉として極めて魅力的な選択肢である。
しかし、新たな市場や生産拠点を求める動きが加速する一方で、企業が直面するカントリーリスクの内容もまた、より複雑かつ多様なものへと変質している。
例えば、進出先におけるテロの脅威は、企業の従業員の生命を脅かすだけでなく、巨額の投資を行った設備や物流網を麻痺させるリスク要因である。
このような新天地においてテロリスク評価を行う際、多くの日本企業が1つの落とし穴に陥っている。それは、公開されている統計データに過度に依存し、その数字の背景にある現地の構造的な歪みを看過してしまうという問題である。
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