企業が陥る落とし穴 公表データの鵜呑み

海外進出や現地での事業継続を検討する際、多くの日本企業は手続的かつ客観的なリスク評価を試みる。

その過程において、現地政府が発表する治安情勢報告、国際機関が編纂するデータベース、あるいは著名な民間研究機関が公表している具体的なテロ事件数や被害者数といった各種の統計データがベースとして用いられることが一般的である。

これらの数値はグラフやランキングの形で視覚化されやすく、経営陣に対する説明や社内議論のプロセスにおいて説得力を持つため、カントリーリスクを定量化する上での一等地を占めることが多い。

確かに、客観的な意思決定を行うためにこれらの公式統計を参照すること自体は言うまでもなく重要であり、むしろリスク管理の第一歩として不可欠なプロセスである。

しかし、問題はこれらの数字が、現地のリアルな治安状況や潜在的な脅威を常に正確に反映しているとは限らないという点にある。

多くの企業は、データとして提示された数値そのものの正確性に疑問を挟むことなく、それが現地のセキュリティ環境の全容を表しているという前提に立って事業計画を構築してしまいがちである。

この公表データの鵜呑みこそが、企業の安全対策を揺るがしかねない大きな脆弱性を生み出している。

なぜ統計は歪むのか?「数字の裏」にある3つの構造的要因
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