かつて典型的な海外移住者と言えばスペインやフランスに移住する退職者

「かつて典型的な英国人海外移住者と言えば温暖な気候を求めてスペインやフランスに移住する退職者。しかし最近は低税率のドバイに移住し、英国に戻ってこない若者が主流だ。彼らは起業家精神に富んでいるが、一番多く納税できる時期を国外で過ごしている」(WSJ紙)

キア・スターマー英首相の次を狙って閣僚を辞任したウェス・ストリーティング前保健相はキャピタルゲイン税を所得税率(最高45%)と同水準に引き上げる「機能する富裕税」を打ち出し、激しい論争を巻き起こしている。

米経済学者アーサー・ラッファー氏が提唱したラッファー曲線は「増税しても必ずしも政府の税収が増えるとは限らない」ことを示す。「税率を2倍にすれば税収も2倍になる」と思いがちだが、人間の心理と行動を計算に入れると限界点を越えた増税は逆に税収を減らすという。

右派や新自由主義者のドグマとして利用されてきたラッファー曲線

昨年11月に秋季予算案が発表された際、市場原理主義を信奉するアダム・スミス研究所のマックスウェル・マーロウ広報部長は「今の英国ではおせっかいな政府に浪費家が群がっている。このままでは英国はかつてのような活気と自由を愛する国ではなくなってしまう」と喧伝した。

一方「タックス・ジャスティス・ネットワーク」共同創設者の英経済学者リチャード・マーフィー氏は、税率が0%と100%の時に税収がゼロになり、その間に税収を最大化する「最適税率」が存在するというラッファー氏の主張は一見シンプルだが完全に間違っていると唱える。

北欧諸国を見れば高負担の国の方が英国よりも高い生産性と力強い経済成長を維持していることが分かる。ラッファー曲線は富裕層や資本への課税を減らしたい右派や新自由主義者のドグマとして利用されてきた。公正で累進的な税制を持つ国こそ最も安定するとマーフィー氏は説く。

【動画】大幅増税と特有の経済的課題
【関連記事】