岸田政権「安保三文書」で設置された有識者会議に…
こうした財界の要望が反映されたのが、2022年12月に当時の岸田政権が日本の防衛政策の指針として閣議決定した「安保三文書」だった。反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有、防衛費のGDP比2%への増額、5年間で約43兆円の防衛費計上などが明記されたものである。
「安保三文書」に基づく軍事費の膨張は、日本とアメリカの軍需産業(兵器製造企業)に莫大な利益をもたらしているという。この点に関しては、武器取引反対ネットワークの杉原浩司代表による、利益構造への厳しい批判が紹介されている。
「大軍拡予算で巨額の国費、元は私たちの税金が軍需企業を肥え太らせるために、際限なく投入されているのです。しかも軍拡政策を推進するために防衛省が設置した「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」のメンバーに、軍需企業最大手の三菱重工の宮永俊一会長が選ばれています。大軍拡で利益を得る当事者が、さらに利益を増やして自分たちが儲かるような政策の、なんと旗振り役をつとめるわけで、けっして許されないことです」(89ページより)
この有識者会議は「安保三文書」の「国家防衛戦略」に「戦略的・機動的な防衛政策の企画立案」の「機能を抜本的に強化していく」ため、「有識者から政策的な助言を得るための会議体を設置する」と明記されたことに基づいて、2024年2月に設けられた。
メンバーは財界人、学者、元防衛大臣、元防衛事務次官、前自衛隊統合幕僚長、元駐米大使ら17人だった。民間企業からは、座長の榊原定征経団名誉会長を筆頭に、澤田純NTT会長、山口寿一読売新聞グループ本社社長、そして上記した三菱重工の宮永俊一会長の4人が選ばれた。