政府は4月21日、武器輸出に関する「防衛装備移転三原則」の運用指針を改定し、殺傷能力のある武器の輸出解禁を閣議決定した。これまでは非戦闘目的の「5類型(救難、輸送、警戒、監視、掃海)」に限定されていた規制を撤廃し、武器輸出を可能にしたのだ。
平和国家としてのあり方が大きく変わる決定だが、武器輸出の拡大は私たちにどのような影響を与えるのだろうか。『ルポ 軍事優先社会――暮らしの中の「戦争準備」』(吉田敏浩・著、岩波新書)には、武器輸出について以下のような記述がある。
武器輸出は常に世界各地で緊張、対立、紛争が続くことを前提にしている。各国の軍隊は緊張、対立、紛争を理由に軍備を増強する。それにつれて大量の武器も売れる。つまり、他国の人びとが紛争・戦争によって死傷し、血を流すことを前提に利益を得る発想が、武器輸出の根底にはある。(82〜83ページより)
だからこそ日本はこれまで、憲法第9条の存在を理由に武器輸出を避けてきたのだ。言うまでもなく、国際紛争を助長させないために、である。
にもかかわらず近年は、本来守られるべき平和理念がなし崩し的に形骸化されようとしている。
2025年2月に発売された本書では、特に岸田文雄元首相が2024年に舵を切った「大軍拡」と軍事費膨張、「米日軍一体化」の動きを問題視しているが、今回の閣議決定によってこうした流れがさらに強まる可能性がある。
ここで見逃すべきでないのは以下の指摘だ。
武器輸出(「防衛装備移転」)の推進と「防衛生産・技術基盤」の強化は、そもそも経済界の強い要望を取り入れたものだ。財界中枢の大企業が集まる経団連(日本経済団体連合会)が二〇二二年四月に発表した「防衛計画の大綱に向けた提言」は、こう主張している。
「防衛装備・技術の海外移転は、わが国の安全保障を強化するために、米国をはじめ価値観を共有する諸国との防衛協力を推進する重要な方策の一つであり、わが国の防衛生産・技術基盤の強化にもつながる」(83〜84ページより)