オルバン政権は、欧州では極右と言われたり、保守右派と極右の間のラジカル右派と言われたりしてきた。
「MAGA」とは「アメリカ第一主義」である。それを欧州の極右やラジカル右派が支持する光景は、実に珍妙だった。欧州のMAGA支持者たちは、トランプを賛美し、アメリカにへつらっていた。
第二次大戦の頃の極右は、自国の足だけで立つ気概(?)があったようだが、現代では仲良く一列に並んで「国際自国第一主義」とでも言える状況である(奇っ怪な表現だ)。
「反グローバリズム」「国家主権主義」の集まりと解釈すれば良いのだろうが、世界一の大国アメリカが自国第一主義に陥ったら、自分の国は困るだけではないか。
その矛盾と現実が突きつけられる時がやってきた。
グリーンランド問題で割れた欧州の極右
トランプ政権が欧州にも関税攻撃をかけた頃から、風向きが変わってきた。決定打はグリーンランド問題だった。「グリーンランドを売らなければ、関税をかける」という脅しに対して、欧州の極右は割れた。一部はアメリカの干渉に怒り、他のヨーロッパ人たちと同様に「欧州国家の主権に対する挑戦だ」として、アメリカ非難の列に並んだ。
このことは、極右に批判的な人々を少なからず驚かせた。国家主権を尊重するのなら、デンマークの問題だから関係ないはずだ。実際に、一部の極右は「デンマークの問題だ」と言ったが、完全な形勢不利を悟ったのか議論に参戦するでもなく、口数は少なめだった。
結局は、EUによって築かれた欧州の平和ありきの主張なのだ。日本人から見ればぜいたくに映る。EUの加盟国は、近隣の加盟国が自国を経済的にも軍事的にも攻撃してくるなど、つゆほども思っていない。
オルバン首相は「これはNATO内部の内輪の問題」として扱った。そして一層トランプ大統領との関係を強化することで乗り越えようとした。