大勝したマジャルは、「ロシア人よ、家に帰れ」という言葉をキャンペーンで巧みに使った。この言葉は、1956年のハンガリー動乱の際に使われたスローガンだった。冷戦時代、反ソ連のデモや蜂起がハンガリーの全国規模で起き、親ソの政府がモスクワに鎮圧を要請し、何千人もの死傷者が生じた事件だ。
一方でロシアの主流メディアは、EUとアメリカの前例のない対立とみなし、オルバンを公然と支持していたトランプ政権の失敗であると見ているという。
マジャルは記者会見で「もしウラジーミル・プーチンから電話があれば、私は出るだろう。しかし私からかけることはない」「彼に、殺戮を終わらせるべきだと伝えるかもしれない」と述べた。プーチン大統領の発言は、今のところ出ていない。
またマジャルは「外相が外務省にやってきて、ロシアに対する国際制裁の関連文書をシュレッダーにかけた」と発言した。その頃、同国のメディアでは、外務大臣を含む閣僚数名が、ロシアの影響力が強いアフリカに逃亡したとの話が飛び交うという事態まで起きていた。
ではアメリカはどうか。
常日頃、とても雄弁なドナルド・トランプ大統領だが、この件では沈黙を守っていた。
ABCニュースの記者から質問を受けて、沈黙の理由として、自分はハンガリーの選挙に「関与していなかった」と言った。そして「ビクトルは良い人物だ」と付け加えたという。
関与していないどころではない。総選挙の5日前、J・D・バンス副大統領はブダペストにやってきた。そして大きなスポーツ施設で開かれた選挙集会に参加し、ひとしきりEUを批判した後、トランプ大統領にその場で電話をかけた。大統領は生の声でオルバン首相を「他の国々のように自国が侵略されるのを許さなかった素晴らしい人物」と称賛し、声を参加者に聞かせたのだった。ただ、オルバンはトランプに来訪してほしかったのだが、その期待は叶わなかった。
嘲笑されるバンス副大統領
現在、バンス副大統領は、アメリカで民主党支持者を中心に、嘲笑の的になっているという。彼の失敗が続いているからだ。
目下、イラン戦争を批判するアメリカ人のローマ教皇レオ14世とトランプ大統領の関係が悪化している。バンスはカトリックなので、教皇をアメリカに招待しようとしたが、拒否された。
イランとの和平交渉の責任者としてパキスタンに赴いたが、合意に失敗した。そして、オルバン首相が惨敗した。