「マルチトラックな欧州」
新しいヨーロッパは、2つの点で現在のEUとは違う。まずEUとユーロ圏をはっきり分けて考える。第2に、ユーロに未解決の問題が山積していることを認める。そうした問題に、欧州の統合を破壊させてはならない。
ユーロ圏を縛る規則は時代遅れだ。全てのEU加盟国は一定の条件を満たせば単一通貨ユーロを採用すべきものとされている。そのためユーロ導入を拒否したり先送りしたりしている国(スウェーデンやポーランドなど)は「条件未達」国として扱われるという理不尽な状況が生まれている。
影響は根深い。EUはユーロ圏を核とする組織に変質し、ユーロ圏に属さない加盟国は「二等国」扱いされている。そこには、速度こそまちまちだが加盟国は皆同じゴールを目指しているという暗黙の了解があるのだが、それは多くの加盟国が「絶えざる統合の深化」というゴールを拒否している現実から目を背けている。
時代遅れな目標は捨て、速度は違えど同じ場所を目指す「マルチスピードな欧州」ではなく、加盟国に多様な道筋を認める「マルチトラックな欧州」を目指すべきだ。メリットは広範囲に及ぶだろう。昨今、加盟国は主権を主張するばかりで協調には後ろ向きだ。だが協調がポジティブな結果をもたらせば風向きも変わる。例えば現在は有志連合で担っている防衛も、全体で取り組むようになるかもしれない。
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