将来的には、辻が他社の社外取締役に就任する可能性も十分ありそうだ。多くの日本企業は、サンリオが最も得意とすること、つまりマーケティングがうまくない。

「日本企業はものづくりは得意だが、売り込むのが下手だ」と、フランスの高級ブランドLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの関係者は語る。例えば、セイコーは技術的にはロレックスよりも優れた腕時計を作っているが、売れているのはロレックスのほうだ。

辻なら、ブランドストーリーを構築する重要性をよその業界にも伝授できるだろう。「私の経験がどこまで役に立つか分からないが、日本企業が発展するためには、さまざまな成功事例を共有する必要があると思う」と、辻は語る。

社長に就任した当初は祖父の操り人形と見られることもあった辻だが、今やその舞台を完全に支配している。しかも未来は明るい。

「サンリオのキャラクターは厚みを増している。レッサーパンダの『アグレッシブ烈子』がいい例だろう。ひとりカラオケでデスメタルを歌ってストレスを発散するOLという設定だ」とデールは笑う。

「『カワイイ』キャラクターを好きな人は、いい年をして大人になり切れない未熟な人間と見られがち。でも、それはつまり大人になっても好奇心旺盛で、新しいことに挑戦する意欲が高い子供心の持ち主なのだ」

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