<宿泊客にアメニティの持参を呼び掛け、削減できたプラスチックの量だけ森に木を植える──。国を挙げてプラスチックごみの問題に取り組むなか、ホテルウィングチェーンを運営する株式会社ミナシアはプラスチックアメニティの削減と森林再生、地域活性化の実現を目指すプロジェクトを実施している>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

「アメニティバイキングでプラスチック削減」の限界

ここ数年、大規模な台風や集中豪雨の影響で、土砂崩れ、洪水などのニュースを目にする機会が増えた。日本は山と丘陵地が国土の約7割を占めるうえに、雨や雪、地震も多い。そのためどうしても自然災害が起こりやすいのだが、土砂崩れや洪水の原因はそれだけではない。例えば、60〜70年前に植えられて、そのまま放置された人工林も原因の一つ。根が育っていないために周辺の土壌がゆるく、大雨が降ると崩壊のリスクが高まるのだ。

また、大規模な「皆伐」の跡地から災害が起きるケースも少なくない。皆伐とは、森林の一定区画の木をすべて伐採する手法のことで、木材を収穫した後は山肌がむき出しになる。これによって山の保水力や抵抗力が弱まり、土砂崩れが起きやすくなるのだ。事実、2019年の台風19号や20年の7月豪雨災害では、皆伐地に起因した被害が各地で報告されている。

そうした状況を受け、近頃は森林造成のために植林を行ったり、手入れが進んでいない森林を整備したりという取り組みが多く見られるようになった。株式会社ミナシアのホテルブランド「ホテルウィングインターナショナル」が実施している植樹活動「ミライの木プロジェクト」もその一つだ。

newsweekjp20241111070412-6713421aa99bb07177a9c8210afc3343c75d35bc.jpg
はげ地に木を植える社員ら。持続可能な森づくりを目指す植樹活動を2024年4月からスタート

同社は、1990年にホテルウィング1号店をオープンして以来、全国各地でホテル&レストラン事業を展開している企業で、植樹活動をスタートさせたのは、「プラスチックごみ問題」への対応が発端だったという。

プラスチックごみがもたらす環境負荷を減らすため、政府は22年4月に「プラスチックにかかる資源循環の促進などに関する法律」を施行。それ以降、ホテル業界では客室に歯ブラシやカミソリ、ヘアブラシ、くし、シャワーキャップといった無料アメニティを置かない施設が増えた。

「環境に配慮したホテル運営」を目指した活動の一つ