この社会構造を公安警察KGBの後身FSBが津々浦々に張ったネットワークで監視する。00年、そのFSBを力の基盤とするプーチンが権力の座に就くと、リベラル分子は権力から遠ざけられた。

そして22年2月にウクライナ侵攻が始まり、リベラル・インテリは西側の友人との交信もはばかられる時代となった。モスクワに勤務した筆者にとって、彼らとの付き合いが一番面白かったが、今では彼らはロシア至上主義に走ったり、「ロシアをこんな国にした責任はアメリカにある」と恨み言を述べたり、と散り散りになった。

ナジェージュジンはそのような、裏切られたリベラルの最後の生き残りだ。ロシア当局が彼の大統領選立候補を認めるかどうかまだ分からないが、認められたとしても、リベラル嫌いの大衆は彼に投票するまい。投票したとしても、ロシアの電子集票システムがそれをきちんとカウントするかどうか......。

ナジェージュジンという名は「希望」というロシア語から派生している。次の選挙でも、リベラルの希望はつぶされることになるだろう。

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