孤軍奮闘する台湾を今こそ支援せよ
<中国の圧力により、コロナ対策で有益な教訓を持つ台湾がWHOに参加できずにいる事実は、世界に損失をもたらした。アメリカは台湾の国際社会への参加を後押しし、軍事や通商関係も一層強化すべきだ。本誌「台湾の力量」特集より>
WHO(世界保健機関)とテドロス・アダノム事務局長は、新型コロナウイルス危機が始まって以来、このウイルスに関する中国政府のプロパガンダを受け入れ、拡散させてきた。そして、5月にテレビ会議形式で開催されたWHO総会でも、ある贈り物を中国共産党政権に送った。この総会に台湾がオブザーバーとして出席することを認めなかったのである。中国は長年の間、台湾が国際機関に加わったり、外国政府と国交を樹立したりすることに激しく反発し続けてきた。
テドロスの臆病な態度は、世界に損失をもたらした。台湾は新型コロナウイルスへの対応に成功し、ほかの国々にとって有益な教訓をいくつも持っているからだ。
台湾当局は早くも昨年12月31日の時点で、中国・武漢からの直行便でやって来る乗客を対象に機内検疫を開始した。この段階では、中国政府はほぼ何の対策も講じていなかった。ヒトからヒトには感染しないと、まだ主張していたのだ。
中国で感染拡大に歯止めが利かなくなるのを尻目に、徹底した国境管理、テクノロジーを駆使した感染者追跡、積極的な検査を行った台湾は、平穏を維持できた。人口2300万の台湾で、症例数はわずか451人。死亡者数は7人にとどまっている。しかも、発表しているデータの信頼性も中国よりはるかに高い。
中国の圧力を跳ね返すとき
台湾は、アメリカを含む友好国への支援にも力を入れてきた。現在生産しているサージカルマスクは、1日当たり1700万枚を突破。中国と異なり、品質の信頼性も高い。4月には、アメリカに200万枚ものマスクを寄贈した。
それでも、WHOの官僚たちは台湾を正当に評価しないだろう。そこで、台湾の貢献が正しく評価され、台湾の人々の民主主義への思いが尊重されるようにするために、アメリカが積極的に行動する必要がある。
米政府は、国連などの国際機関への台湾の有意義な参加を後押しし続けるべきだ。国務省は、米政府関係者と台湾側の交流に制約を課しているルールの多くを廃止する必要もある。そのようなルールは、犠牲をいとわずに対中関与路線を推進すべきだと考えた政治家と官僚たちによって設けられたものだ。しかし、そのような時代はもう終わった。
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