トランプが誤算? イラン攻撃延期の舞台裏、湾岸諸国の「警告」
湾岸諸国の怒り
中東研究所のバタンカ氏は、戦争に巻き込まれてホルムズ海峡経由の原油輸出が不可能になったり、液化天然ガス(LNG)施設に被害を受けたりした湾岸諸国が最も割を食う事態になったと解説した上で「私が湾岸諸国の指導者なら怒り心頭だろう。何ら同意しないまま非常に大きなリスクにさらされ、過去4週間で被った損害の復旧には何年もかかる恐れがある」と述べた。
複数の専門家は、トランプ氏がイランの底力と、周辺地域と世界全体に及ぼす悪影響の規模の双方で判断を間違ったとの見方を示した。
イランは反撃できないほど弱体で分断され、反撃力は抑止されると考えていたトランプ氏が直面したのはイラン側による非対称的なエスカレーションで、それが米国のパートナー諸国と世界経済に重大なコストをもたらしたとみられている。
その結果がトランプ氏お決まりの軌道修正だった。つまり強硬な言い回しを振りかざしながら、実際の決定は先送りする手法だ。専門家らによると、選択肢の温存は、力を見せつけるはずの行為が政権の命運を左右する「泥沼」へ変わる危険をはらむ事態のエスカレーションからは身を引くことを意味している。
より深刻な問題は、自分の手で現状を再構築できるというトランプ氏の考えが、この戦争で打ち砕かれたことにある。痛手は受けながら壊滅していないイランは、一つの明確な教訓を得ている。それは「抑止力は機能する」ということだ。現在のイラン当局による政治的計算の裏にあるのは自信と恐怖の混在で、この戦争から何か持続的な成果を引き出すか、再び戦火に引きずり込まれる危険を冒すかだという。
一方、トランプ氏にとっては、今後のいかなる合意も本人が望むより範囲が狭まり、対価も大きくなり、対外的な納得を得るのは難しくなるだろう。
イラン専門家のエア氏は「イランは一部では大胆になり、別の部分では恐怖を感じている。彼らは甚大な被害や破壊、死を経験し、これを繰り返したくないと考えている。しかし以前の状態に戻ることもできない」と述べ、そうなればイスラエルが単に「草を刈る」ように定期的な攻撃をしかけてくるからだと説明した。
イラン系米国人で外交専門家のバリ・ナスル氏は、イランはもはや戦前の状態への復帰を求めているのではなく、解決策として安全保障の確約、経済的救済、そして湾岸地域における新たなパワーバランスなどを望んでいるとの見方を示した。






