最新記事
難民問題

アフガン人は強制送還、もしくは⋯イランに逃れた難民を待つ「残酷すぎる二択」の運命とは

IRAN PURGES ITS PAST

2025年8月6日(水)17時00分
エザトゥラ・メルダッド(ジャーナリスト)

90年代に東部ファリマンの悪名高い難民収容キャンプに放り込まれ生き残ったユネス・ヘイダリは、イラン警察からの過酷な仕打ちを克明に記録し、『鉛の日々』と題する本にまとめた。法的根拠もなく拘束され、バスに乗せられ、隔離されたキャンプで屈辱的な扱いや苛烈な拷問を受けたことがつづられている。

イランでのアフガニスタン難民に対する長年の虐待の実態を明かした同書が出版されたのは90年代だが、難民・移民に対する法的枠組みや当局の対応は今も改善されず、放置されたままだ。ヘイダリの悲惨な体験は、そのまま現在のアフガニスタン難民のそれに重なる。


79年のソ連軍侵攻を機に内戦が始まると、数百万のアフガニスタン人が豊かな産油国イランに逃げ込んだ。その後のアフガニスタンで半世紀近くも政情不安が続いているのは周知のとおりだ。

この間、イランは常に重要な当事国として立ち回り、ソ連に抵抗するアフガニスタン人を支援した時期もある。内戦中はアフガニスタン国内の特定勢力を支援した。2021年にはタリバンの進軍を後方支援し、国際社会の承認するアフガニスタン政府を崩壊に追い込んだ。

ちなみに、この時も120万人近いアフガニスタン人が祖国を捨ててイラン側に脱出している。国内で安定した暮らしを望めない彼らから見れば、隣国イランはそれなりに平穏な場所で、どうにか生計を立てられそうに思えたからだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米アマゾン、全世界で1.6万人削減 過剰雇用是正と

ビジネス

ドルの基軸通貨としての役割、市場が疑問視も 独当局

ビジネス

英CPI、食品データで2月から新手法 若干押し下げ

ワールド

ロシア軍がキーウ攻撃、2人死亡 オデーサも連夜被害
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化はなぜ不可逆なのか
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 5
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    「恐ろしい...」キリバスの孤島で「体が制御不能」に…
  • 9
    「発生確率100%のパンデミック」専門家が「がん」を…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 8
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 9
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 10
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中