インドは「先進国」になれるのか...外交の「方針転換」で影響力増大も、経済面で気がかりな課題が
Economy on the Rise

RAJ K RAJーHINDUSTAN TIMES/GETTY IMAGES
<中国を抜いて世界一の人口大国になったインド。内需や労働力が魅力だが、国外からの投資や貿易を阻害している要因も無視できない状況>
世界の大企業を見渡すと、インド人の活躍が目立つ。マイクロソフト、グーグル、IBM、ノバルティス、シャネルなど枚挙にいとまがない。世界的企業のリーダーを輩出しているインドは、ここ10年ほど堅調に経済成長を続けている。
背景には、2023年4月にインドが中国を抜いて人口世界一になったことがある。重要なのは若者の人口が多い点だ。若い生産年齢人口の増加が経済成長を支え、所得増加とともに消費需要が拡大して国内市場が活性化してきた。
加えて、アメリカをはじめとする西側諸国の中国に対する警戒心から、製造業も中国からインドに移り、インド経済の成長を促している。今後もこの傾向は続くだろう。
インドの発展を率いるのが、11年の長期政権を築くナレンドラ・モディ首相だ。保守的なインド至上主義政党のインド人民党(BJP)の党首で、特に経済政策に注力。14年に「メイク・イン・インディア」政策を立ち上げ、外国企業の投資を促進して製造業の活性化を促してきた。
モディのビジョンでは、まず世界第3位の経済大国になり、47年には先進国の仲間入りを目指す。
だが、課題もある。インドでは労働力をしっかり吸収する雇用が十分に追い付いていない。加えて保護主義的な傾向から完全に脱皮できず、国外からの投資や貿易を阻害しているケースも見受けられる。