最新記事

ウクライナ危機

やっぱり軍事音痴だったバイデンが「プーチンの侵略を招く」とボルトンが警告

Joe Biden's Timidity on Russia Incentivizes Vladimir Putin, John Bolton Says

2022年1月25日(火)17時42分
イワン・パーマー
ボルトン

この大事な局面で「欧州諸国とも意思統一できていないようだ」と懸念を表明したボルトン Jonathan Drake-REUTERS

<ロシアがウクライナに侵攻しても「小規模な侵攻」なら見逃すと口を滑らし、戦力投入も後手に回るバイデンの姿勢は、侵攻への「ゴーサイン」に等しいと懸念が高まっている>

ロシアによるウクライナ侵攻が秒読みともみられるなか、ドナルド・トランプ前米大統領の国家安全保障問題担当補佐官だったジョン・ボルトンが、ジョー・バイデン米大統領の弱腰を批判した。

ボルトンは1月23日付のニューヨーク・ポスト紙に意見記事を寄せ、この中で、バイデンの過去の発言を厳しく批判した。バイデンは19日に、ロシアによるウクライナ侵攻が全面侵略ではなく「小規模な侵攻」ならば、アメリカとして制裁を見送る可能性を示唆するような発言を行った。

また「プーチンが先に行動を起こすのを待ってからNATOと共に対応を決める」というバイデンの戦術は、必ずや失敗に終わると断言。「プーチンはウクライナに対して全面侵略を行わなくとも、大きな利益を手にすることができる」ということを、ホワイトハウスは「まだ理解できていない」と批判し、バイデンの「不適切で一貫性のない方針」はウクライナに対する「ロシアの軍事行動に対する抑止力」にはなっておらず、「臆病なやり方」はプーチンの「要求をエスカレートさせるだけ」だと指摘した。

「厳しい制裁で圧力をかけるべき」

「プーチン相手に無難で手堅い対応を取るバイデンのようなやり方では、危険にさらされているウクライナなどの国を永続的に守ることはできないだろう」とボルトンは記事の中で述べ、こう続けた。「NATOが何らかの妥協をすれば今すぐ軍事紛争が起きるのを回避することはできるかもしれないが、それによって近いうちに紛争が起きるリスクが増大するという悪循環に陥る危険がある」

米国連大使(2005~2006年)を務めた経験もあるボルトンは、バイデンが軍事紛争を抑止するためには、プーチンに対して厳しい制裁という方法で圧力をかけるべきだと主張する。ロシアがウクライナに侵攻した場合、NATOの他の同盟諸国と共に、海底ガスパイプライン「ノルドストリーム2」計画の停止も辞さないと表明するなどの方法を取るべきだと述べた。

既に完成して稼働に向けた準備を進めているノルドストリーム2は、ロシア産天然ガスをバルト海経由でヨーロッパ本土に運ぶパイプラインで、ヨーロッパのロシア産ガスへの依存度を高めるという批判の声もある。また同パイプラインの完成により、ウクライナを通る既存ルートの利用が減るため、ウクライナにとってはロシアから受け取ってきた経由料を失うことも意味する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウ代表団、今週会合 和平の枠組み取りまとめ=ゼレ

ビジネス

ECB、利下げ巡る議論は時期尚早=ラトビア中銀総裁

ワールド

香港大規模火災の死者83人に、鎮火は28日夜の見通

ワールド

プーチン氏、和平案「合意の基礎に」 ウ軍撤退なけれ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中