最新記事

韓国事情

「ボイコットジャパン」、韓国の日本製品不買運動は過熱するブームの様相に

2019年8月9日(金)16時50分
佐々木和義

不買運動をめぐってさまざまな噂がかけめぐる...... Kim Hong-Ji-REUTERS

<韓国の日本製品不買運動が拡大している。不買運動の主導者たちは日本製原料が0.1%でも含まれている製品は買わないと息巻くが......>

日本政府が韓国を「ホワイト国」から除外する決定をした2019年8月2日以降、韓国の日本製品不買運動が拡大している。

不買対象の製品やブランドを共有するインターネットサイトに登録された日本製品は130品目を超え、グーグルプレイにアプリも登場した。不買対象は日本産原材料が含まれる品目にも拡大し、自治体が日本関連事業を中止するなど広がりを見せる一方、過度な運動を批判する声も出はじめている。

日本産原料が0.1%でも含まれる製品は不買対象にと

韓国食品大手オットゥギは、同社が製造するレトルト米飯の包装容器が日本製という批判を受けた。CJ第一製糖もレトルト米飯で70%以上のシェアを持つ同社商品「ヘッバン」に少量の日本産糠抽出物が含まれていることがインターネットで広がり、年内を目標に国産化に着手した。日本産原料が0.1%でも含まれる製品は不買対象にすると息巻く運動に、全社レベルで原材料を確認するなど韓国企業の間で緊張が広がっている。

イーマートとコストコは一部店舗で行なっていた日本製品の割引販売が批判を受け、コンビニエンスストアのCUが輸入ビール4缶セット1万ウォンの割引イベントから日本ビールを除外すると、GS25、セブンイレブン、イーマート24も追随した。ソウルでは販売を中止する'不売'の動きは見られないが、販売価格を上げて消費者を国産品に誘導する動きが目立っている。

「ボイコットジャパン」は自治体にも広がっている。京畿道水原市は厳泰永(オム・テヨン)市長が参加予定だった旭川市との姉妹都市提携30周年記念行事を取り消し、光明市(クァンミョンシ)も大和市と共同開催を予定していた青少年国際交流行事を取り消した。釜山市は日本との交流事業34件を再検討すると発表し、ソウル市も日本との交流行事を再検討すると明らかにするなど、日本関連事業を見直す事例が相次いでいる。

行き過ぎた運動に批判の声も

一方、行き過ぎた運動に批判の声も上がっている。ソウル市中区は2019年8月5日、区内に1100枚の「反日の旗」を掲示すると発表し、翌6日午前中に50枚を設置したが市民の反対が相次ぎ、わずか半日で撤回した。明洞や南大門、南山など区内の観光スポットは多くの外国人観光客が往来し、また、隣接する鐘路区と合わせた日系企業は200社を超える。

民間が行なっている運動が官主導という印象を与える恐れがある上、日本人観光客や在住日本人が不安を感じて、日本人を主要顧客に持つ商店の売上に影響する懸念がある区のサイトに旗の撤去を求める書き込みが殺到し、青瓦台(大統領府)のホームページに出された旗設置の中止を求める請願にも1万7500人以上が賛同した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ベラルーシ大統領、米との関係修復に意欲 ロシアとの

ビジネス

ECBが金利据え置き、4会合連続 インフレ見通し一

ワールド

ロシア中銀、欧州の銀行も提訴の構え 凍結資産利用を

ビジネス

英中銀、5対4の僅差で0.25%利下げ決定 今後の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 2
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 8
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 9
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 10
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中