最新記事

EU

イタリア高速道路橋崩落、的外れなEU批判が覆い隠す財政実態

2018年8月18日(土)13時55分

経済協力開発機構(OECD)のデータに基づくと、イタリアが交通インフラの投資および維持に支出した金額は2008─15年で58%も減少した。

ところがイタリア銀行(中央銀行)が昨年行った分析では、もっと多く投資しようと思えば可能だった。現実を見ると、07─15年に実質ベースの公共投資が35%落ち込んだ一方で、公務員の給与や年金支給といった経常的な歳出は7%も増えたのだ。

EU欧州委員会は15日、イタリア連立政権に対し、しばらく前からインフラ投資を優先するよう促してきた事実を思い起こしてほしいとのメッセージを送った。

欧州委によると、4月には事故が起きたジェノバ地域を含むイタリアの高速道路向けに85億ユーロの投資をすることを承認している。またイタリア政府は、14年─20年の間に道路や鉄道といった交通網インフラのためにEUから約25億ユーロを受け取れることにもなっているという。

イタリアのトリア経済・財務相でさえ、インフラ投資はEUの財政ルールを緩和せよという連立政権の要求とは別問題かもしれないとの見方を示唆した。

トリア経済・財務相は、自身の優先課題は単に公共投資を拡大することではないと発言。政府はお金をうまく使う力や、民間への適切な介入能力が不足しているという問題の克服を目指していると説明した。

同国財務省の関係者は、トリア経済・財務相は既にEU側と向こう10年で総額1500億ユーロに上る大規模な公共投資計画を協議中であり、インフラ支出のために財政赤字を増やす必要はないと述べた。

今回の高架橋崩落は、連立政権にとってはEUを責める別の理由にもならなさそうだ。高架橋は1967年の完成からまもなく問題が生じていた上、維持補修を担当していたのは政府ではなく民間企業だったからだ。

(Valentina Za記者、Stefano Bernabei記者)

ミラノ 15日 ロイター


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 BTS再始動
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月31号(3月24日発売)は「BTS再始動」特集。7人の「完全体」で新章へ、世界が注目するカムバックの意味 ―光化門ライブ速報―

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

国連人権理事会、イラン学校攻撃で緊急会合 米に早期

ビジネス

ECB、必要なら行動の用意 利上げ時期議論は尚早=

ビジネス

シェブロンの豪ウィートストーンLNG、サイクロン被

ワールド

WTO閣僚会議、電子データ取引関税猶予延長巡る交渉
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 2
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 3
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のSNS動画が拡散、動物園で一体何が?
  • 4
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 7
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    カタール首相、偶然のカメラアングルのせいで「魔法…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中