最新記事

ロシア

プーチン支持率、8割から3割に急落 いったい何が?

Support for Putin’s United Russia Party Plummets

2018年8月1日(水)19時00分
デイミアン・シャルコフ

年金支給開始年齢の引き上げに抗議してプーチンの顔を踏むデモ参加者(7月29日、モスクワ) Sergei Karpukhin-REUTERS

<プーチン独裁を支えてきた高い支持率が急落。W杯に紛れて年金支給開始年齢を引き上げようする指導者はロシア人もさすがに許せなかった>

ロシアでは政府の年金改革案に対する不満の高まりから、ウラジーミル・プーチン大統領の与党・統一ロシアの支持率が、2011年以来の最低水準に落ち込んでいる。

ロシア連邦議会の最大勢力を誇る与党・統一ロシアの人気は、プーチンあってのものだった。だがサッカー・ワールドカップ(W杯)の開幕直前に年金受給開始年齢を引き上げる改革案を発表し、急いでそれを可決しようとする議会の動きが伝わると、あらゆる世論調査で統一ロシアとプーチンに対する支持率は急降下した。

全ロシア世論調査センター(WCIOM)によれば、最新のデータでは、政府の改革案を最も強く推した統一ロシアへの支持率は、37%にまで下落。2011年に記録した史上最低の34.4%に非常に近い。

プーチン政権に対する支持率低下はさらに激しく、31.1%だった。別の国営調査機関や独立系のレベダ・センターによる調査も、同じような結果になっている。

今回の年金制度改革案では、年金受給開始年齢は男性が60歳から65歳、女性は55歳から63歳に、今後10年間で段階的に引き上げる。アメリカ主導の対ロシア制裁や西側との貿易の中断、2014年の原油価格の急落などで膨らんだ財政赤字を削減するためだ。

社会保障に不満

この法案は7月19日にロシア議会下院で審議され、賛成多数で可決された。だが、プーチンが法案に署名する前に必要な、議会上院での審議・採決はまだ行われていない。

この年金改革案に対しては、ロシア経済低迷による影響を不当に国民に押し付けるものだと、多くの市民が抗議の声を上げている。プーチン政権4期目が今年初めにスタートして以来、最初の大きな改革案となるが、世論調査の数字からすると、2014年にウクライナのクリミアを力で併合した際に上昇したプーチンの人気が一気に失われた形だ。

「これらの世論調査から、W杯のような大イベントの間でさえも、ロシア国民が本当に気にかけているのは経済的な安定と生活の質であることがわかる」と、米ブルッキングズ研究所のアリーナ・ポリヤコワは本誌に語った。「目の前の娯楽よりも、そのほうが気になるのだ」

ロシアでは年金だけでなく医療などの社会保障に対する国民の不満は大きい。世界銀行が今年初め、ロシア政府に対してこの分野にもっと資金をまわすべきだと提言したほどだ。

現在、ロシアが公的医療に費やす金額はGDPの4%未満で、経済協力開発機構(OECD)によると、フランス、ドイツ、イギリスなど、ヨーロッパの先進国の半分または3分の1にすぎない。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-イラン、インド船籍ガスタンカー

ワールド

イラン新指導者、負傷で姿見せない公算 外見損傷か=

ワールド

キューバ、米と協議開始 石油封鎖の影響深刻化

ビジネス

米個人消費1月堅調、PCE価格指数前年比2.8%上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切りは常軌を逸している」その怒りの理由
  • 3
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド太平洋防衛
  • 4
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 5
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 6
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 7
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 8
    北極海で見つかった「400年近く生きる生物」がSNSで…
  • 9
    謎すぎる...戦争嫌いのMAGAがなぜイラン攻撃を支持す…
  • 10
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中