最新記事

米朝関係

トランプが北朝鮮制裁強化を指示 金正恩は「最も強硬な対抗措置」検討

2017年9月22日(金)10時10分

9月22日、トランプ米大統領は21日、北朝鮮に対する制裁措置の強化を可能にする大統領令に署名し、制裁措置を通じて同国の核・ミサイル開発の資金源を絶つ考えを示した。提供写真(2017年 ロイター/KCNA via REUTERS)

トランプ米大統領は21日、北朝鮮に対する制裁措置の強化を可能にする大統領令に署名し、制裁措置を通じて同国の核・ミサイル開発の資金源を絶つ考えを示した。

トランプ大統領は今週、ニューヨークの国連本部で行った演説で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と呼び、「ロケットマンは自爆任務に就いている」と発言。米国は北朝鮮を「完全に破壊」せざるを得なくなる可能性があると警告した。

一方、北朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)によると、金委員長は22日、トランプ氏の警告に対し「史上最高の強硬対抗措置」を検討するとの異例の声明を発表。

金委員長は、トランプ大統領について「精神が錯乱している」と指摘。トランプ氏の演説は「史上最も残忍な宣戦布告」であり、北朝鮮の核開発が「正しい道」だったことが裏付けられたと述べた。

国連のグテレス事務総長が各国首脳に対し、「無意識下での」戦争突入を避けるよう呼び掛けているにもかかわらず、米朝の威嚇の応酬が止まらない。韓国、ロシア、中国は双方に自制を求めている。

トランプ大統領は21日、安倍晋三首相、文在寅韓国大統領との昼食会を前に記者団に対し「新たな大統領令で、北朝鮮が人類が手にした最も殺傷能力の高い兵器を開発する資金を絶つことができる」と述べた。

また、署名した大統領令は北朝鮮のみを対象にしたもので、同国と交易を行う個人のほか企業に制裁を加えることができると説明。財務省に北朝鮮との交易に関係していると疑われる外国銀行に制裁を加える権限を与えることも明らかにした。

制裁の対象となる可能性がある業界には繊維や漁業、情報技術、製造が含まれるとしたが、石油取引には言及しなかった。

大統領はまた、北朝鮮の最大の貿易相手国である中国について、中国人民銀行(中央銀行)が国内行に対し北朝鮮との取引を停止するよう命じたことを「素晴らしい」と評価し、北朝鮮への圧力をさらに強めるよう求めることはなかった。

北朝鮮問題で「外交はまだ可能か」と記者に問われると、大統領はうなずき、「当然だ」と答えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ軍、ハリコフ州2地域で部隊後退 ロシアが

ビジネス

訂正(13日配信記事)-〔アングル〕米株式市場、反

ワールド

昨年の北半球、過去2000年で最も暑い夏

ビジネス

MSCI、世界株指数の銘柄入れ替え
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プーチンの危険なハルキウ攻勢

  • 4

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 7

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 8

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 9

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 10

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中