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カナダ首相は「反トランプ」という幻想

2017年5月19日(金)10時00分
ジェシー・ブラウン

カナダの警官がほほ笑みながら、アメリカ国境を越えようとする難民の女の子を抱き上げる写真を見たことがあるだろう。感動的だが、直後に子供と両親が逮捕される写真はあまり知られていない。米カ両国は現在、共同で難民流入を阻止している。

メディアもイメージづくりに協力する。今年2月の訪米時、トゥルドーがトランプの差し出した手に不快感を見せるような写真が拡散した。実際はすぐ後に力強く握手し、がっちりハグし合ったのだが。トゥルドーは、オバマ政権が却下したカナダからメキシコ湾岸に原油を運ぶ「キーストーンXLパイプライン計画」の交渉を進め、4月に米軍がシリアをミサイル攻撃した際も全面的な支持を表明した。

【参考記事】カナダ人はトランプよりトルドーを支持...とは限らない

アメリカのメディアがトゥルドーは反トランプだと持ち上げる一方、カナダのメディアはトランプのメンツをつぶさずうまく立ち回っていると評価する。小心者のカナダ人はどんな状況でも、隣の大国とうまくやりたいのだ。でも従順でいるだけでなく、いつか「カナダのトランプ」が生まれる可能性もある。

5月末の野党・保守党党首選で有力候補だったのはTV司会者で大富豪のケビン・オリアリー。4月末に選挙戦から降りたが、首相候補として再登場しないとも限らない。だってカナダはアメリカ追従だから......。

© 2017, Slate

[2017年5月23日号掲載]

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