最新記事

アップル

豪華なドーナツ型新社屋はアップルの「墓標」になる?

2017年5月31日(水)19時48分
ケビン・メイニー

カリフォルニア州クパチーノのアップルパーク(新本社) APPLE

<米ハイテクの時価総額ビッグ5のなかで、アップルだけが落ちこぼれる可能性が出てきた。豪華な新社屋を建てると社運が傾くジンクスも気になる>

アップル、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブック──アメリカで最も時価総額の高い企業の上位5社(「ビッグ5」)だ。2025年までに、少なくとも1社がこのリストから消える確率が高い。

果たしてどこが消えるのか? 最有力候補は、総工費50億ドルをかけて宇宙船型ともドーナツ型ともいえる新本社を作り、入居を始めているアップルかもしれない。

アップルの今後の展望を「巨大建築コンプレックス」──本社を豪華にするほど成功から遠ざかる──という説を頼りに予想するのは、単純だが興味深い。

著名投資家のマーク・アンドリーセンは数年前、凋落しそうな企業を見分ける10の兆候を発表した。7番目に挙げたのは「豪華過ぎる新本社の建設に巨額のカネを注ぎ込むこと」。なぜ米小売り大手シアーズが、北米一の超高層ビルだったシカゴの旧本社を売却し、従業員を退去させる羽目になったのかも、このルールで説明できる。

だが、ビッグ5から脱落するのはアップルだと思う理由はもっと他にある。カギを握るのはデータだ。専門家がよく言うように、データはまさに未来の原油。データをいちばん多く集めた企業が勝ち残っていくのだ。

データがデータを生む

企業は集めたデータを機械学習用ソフトウエアに学ばせてさらに賢くすることで、顧客へのサービスを改善し、市場シェアを獲得し、データをさらに集める。

【参考記事】人工知能の未来を読みたければNVIDIAの動きを追え

データによるサービス改善のよい例としては、アマゾンがユーザーにおすすめ商品を表示したり、アルファベット傘下のグーグルが検索順位を決めるアルゴリズムを常時更新することが挙げられる。

市場シェアを奪った企業は、さらに多くのデータを収集し、機械学習用ソフトウエアはどんどん賢くなり、勝ち組と負け組企業の差がさらに広がる。ひと握りの米テクノロジー企業を寄せ集めた市場価値が、イギリス一国のGDP(国内総生産)を上回るほどまで成長した背景には、この好循環がある。

一見すると、ビッグ5の業種はバラバラに見える。アップルはハードウエア、アルファベットは検索エンジン、マイクロソフトはソフトウエア、アマゾンは小売り、フェイスブックはソーシャルメディアだ。だが実際は、5社ともデータ集めで熾烈な競争を繰り広げている。製品であれ、サービスであれ、人々が5社の商品を使えば使うほど、顧客データが集まる。ビッグ5の今後の成功は、顧客や世界に関するデータを、いかにたくさん吸収できるかにかかっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン作戦「目標達成まで継続」、核能力阻止へ=イス

ワールド

ウクライナ和平協議、今週開催の見方崩さず ゼレンス

ワールド

トランプ氏、イラン核・ミサイル計画阻止へ攻撃命令 

ビジネス

米ISM製造業景気指数、2月ほぼ横ばいの52.4 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医師が語る心優先の健康法
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 5
    ドバイの空港・ホテルに被害 イランが湾岸諸国に報…
  • 6
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 7
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 8
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    【トランプ関税はまだ序章】新関税で得する国・損す…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 7
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 8
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 9
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中