最新記事

新興国

ルセフ弾劾はブラジルにとって正しい道か

2016年4月20日(水)21時32分
アシシュ・クマール・セン(大西洋協議会)

 まさに混乱の極みだが、ひとたびルセフが退陣すれば、ブラジルの事情が一気に好転することもあるかもしれない、とマルサックは言う。ルセフに気を取られてブラジル政界が忘れてきた経済政策もようやく動き出すかもしれない。「普通はありえないことが、ブラジルでは起こることもある」

【参考記事】大統領選で露呈したブラジルの深過ぎる溝

今後の行方は?

 この後審議は上院に移り、ルセフの弾劾請求を可決するか採決する。可決には全議員81人の過半数の賛成が必要だが、可決は確実な情勢だ。ルセフは180日間の職務停止処分となり汚職捜査を免れず、その間テメル副大統領が大統領代行を務める。

 弾劾法廷で3分の2以上が有罪と判断すればルセフは罷免され、次回選挙が予定されている2018年までの残りの任期はテメルが引き継ぐ見通しだ。

 マルクサックは言う。「ルセフがひとたび大統領の地位から退けば、政権復帰への道は完全に閉ざされる。その時こそ政治勢力を結集してブラジルの政治に安定をもたらす絶好のチャンスだ。政治家も国民も、これ以上政治の混乱を長引かせたくないはずだ」

This article first appeared on the Atlantic Council site.

Ashish Kumar Sen
Staff Writer, Atlatic Council

Peter Schechter
Director, Adrienne Arsht Latin America Center

Jason Marczak
Director, Latin America Economic Growth Initiative

Ricardo Sennes
Nonresident Senior Brazil Fellow,
Adrienne Arsht Latin America Center

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

TSMC、第3四半期39%増益で過去最高 AI需要

ワールド

インドの製油会社、ロシア産原油の輸入削減を準備=関

ビジネス

次回利上げ提案、確たること申し上げられない=田村日

ビジネス

午後3時のドルは151円付近で横ばい、決め手欠く 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇跡の成長をもたらしたフレキシキュリティーとは
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 6
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 9
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 10
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中