最新記事

金融政策

ハンガリーもマイナス金利導入、次に続くのはどこか

中欧諸国および新興国として初めてマイナス金利政策を導入

2016年3月27日(日)13時33分

3月23日、ハンガリー国立銀行が22日、中欧諸国および新興国として初めてマイナス金利政策の仲間入りをした。写真はハンガリー・フォリント紙幣。ブタペストで2014年2月撮影(2016年 ロイター/Bernadett Szabo)

 ハンガリー国立銀行(中央銀行)が22日、中欧諸国および新興国として初めてマイナス金利政策の仲間入りをした。近隣諸国で次にこの輪に加わるのはどこか、エコノミストは思いを巡らせ始めている。

 ハンガリー中銀は市場の意表を突き、翌日物預金金利をマイナス0.05%に引き下げた。これによって明確になったのは、マイナス金利が先進国だけに限られる現象ではないということだ。

 HSBCの新興国市場ストラテジスト、ムラト・トプラク氏は「マイナス金利は規模が大きめの中東欧諸国において、今や現実のテーマとなった。欧州中央銀行(ECB)や日銀、スイス、スウェーデン、デンマークだけの問題ではなくなったということだ」と話す。

 ハンガリーは非伝統的な経済政策や、通貨フォリントの上昇を阻止する強い姿勢で知られる。預金金利は今後も引き下げ続ける可能性を示しており、ノムラの予想では少なくともマイナス0.15%まで下がる見通しだ。

 しかしエコノミストやトレーダーにとってより重要な問題は、他の国々がハンガリーに追随するかどうかだ。

 チェコ中央銀行のシンガー総裁は今週ロイターに対し、マイナス金利は避けたいとした上で、ECBが利下げを続けるなら余儀なくされる可能性もあると述べた。

 チェコの金利は既に実質ゼロまで下がっており、中銀は3年前から、介入によって通貨コルナが1ユーロ=27.0コルナを突破しないようにすると約束している。

 そうした中、ユーロ圏の債券利回りが次々と消滅して投資家のチェコ債購入意欲が高まり、これがコルナ買いを呼び込んでいる。

 ドイツ銀行の新興国FXストラテジスト、ガウタム・カラニ氏は「チェコは基本的に瀬戸際に立っている。イスラエルも同じ部類に入る」と言う。

ポーランドは距離

 中欧で経済規模が最大のポーランドは、マイナス金利からまだ距離がある。同国中銀幹部の1人は今週ロイターに対し、対抗的な利下げを行う可能性は低いと述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米金利先物、9月利下げ確率60%に小幅上昇 PCE

ビジネス

ドル34年ぶり157円台へ上昇、日銀の現状維持や米

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中