最新記事

金融政策

「世界経済は弱さ蔓延、各国政府は収支気にせず財政出動を」クルーグマン教授

日本には「2─3年は収支を気にせず財政出動すべき」と事実上の消費税引き上げ延期を進言

2016年3月23日(水)10時29分

 3月22日、政府は第三回国際金融経済分析会合を開催しポール・クルーグマン米ニューヨーク市立大学教授(プリンストン大名誉教授)から意見を聴取した。クルーグマン教授は「世界経済は弱さが蔓延している」と指摘し、各国が財政出動で協調すべきと強調した。写真は会合後、記者団の質問に答える同教授。代表撮影(2016年 ロイター/Franck Robichon/Pool)

政府は22日夕刻、第三回国際金融経済分析会合を開催しポール・クルーグマン米ニューヨーク市立大学教授(プリンストン大名誉教授)から意見を聴取した。クルーグマン教授は「世界経済は弱さが蔓延している」と指摘し、各国が財政出動で協調すべきと強調した。

日本に対しては「長期的には財政状況が心配」としつつ「2─3年は収支を気にせず財政出動すべき」と指摘。事実上日本に対して消費税引き上げの延期を進言した格好だ。

クルーグマン教授の発言内容は、会合後にクルーグマン教授および内閣府幹部が記者団に明らかにした。

<消費税引き上げは「問題」>

クルーグマン教授は、先進国の経済がいずれも弱い内需などの問題に直面しており「日本化している」うえ、世界経済の相互依存が高まっていると指摘。伝統的な政策手段が効かなくなっており、物価目標など各種政策目標の達成が難しくなっていると説明した。

金融政策に限界があるなかで、財政政策は有効と強調。金融政策を助けるためにも財政出動が重要として、5月の伊勢志摩サミットに向けて「各国は財政出動を調整すべき」との意見を強調した。内閣官房参与の浜田宏一・米イエール大学名誉教授によると、「各国が財政で協力すべきときに消費増税は問題がある」と指摘したという。

出席した日銀の黒田東彦総裁が「財政に余力がある国が本当に財政刺激に舵を切るだろうか」と質問したところ、クルーグマン教授は「ドイツは住んでいる宇宙が違う」としつつ、「財政再建を遅らせることを協調する余地はある」と説明した。

<人民元安「大問題」、マイナス金利「効果限定」>

原油価格の下落について、米国では消費にはプラスだがシェール関連企業の設備投資にマイナスだったと指摘。商品価格一般の急落は、地政学リスク要因にはなるが先進国経済に大きな問題ではないとの見解を示した。

中国の資本流出について触れ「人民元安は大問題」との懸念を示したという。マイナス金利政策については「さらに進めるとしても問題があり、効果も限定されている」と論評した。

(竹本能文)

[東京 22日 ロイター] -

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、FRB次期議長の承認に自信 民主党の支

ワールド

エプスタイン文書追加公開、ラトニック・ウォーシュ両

ワールド

再送-米ミネソタ州での移民取り締まり、停止申し立て

ワールド

移民取り締まり抗議デモ、米連邦政府は原則不介入へ=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 4
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタ…
  • 5
    「着てない妻」をSNSに...ベッカム長男の豪遊投稿に…
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中