最新記事

原油

ロシア極東の石油会社、地の利生かしアジア向け輸出拡大

ルーブル安も追い風となりロシアは原油供給国としてアジアでプレゼンスを高める

2016年3月21日(月)11時02分

3月17日、サハリン・エナジーはロシア極東に複数ある石油会社の1つだ。この地域の石油会社は成長著しいアジア市場でシェアを急速に拡大している。写真は精錬所で働く従業員。ロシアの都市、ウファで2013年4月撮影(2016年 ロイター/Sergei Karpukhin)

 ロシア・サハリン島に拠点を構える石油・ガス生産企業サハリン・エナジーのセールスチームは、ここのところアジア各地を飛び回っている。

 原油マーケティング部門ゼネラルマネジャーのアレクサンダー・ツァリョーフ氏は「今は既存顧客の訪問や新規顧客開拓のため、われわれは年に3回出かけている」と話す。「個人的なつながりが大切だ。特にこういった競争が激しい市場では。パートナーに対しては柔軟に、そして親しくしないといけない」という。

 サハリン・エナジーはロシア極東に複数ある石油会社の1つだ。この地域の石油会社は成長著しいアジア市場でシェアを急速に拡大している。

 北アジアに近接していることや通貨ルーブルが対ドルで下落していることを背景に、ロシアが原油供給国としてアジアでの存在感を高めている。中東の産油国が内部対立や米シェール業者との競争に見舞われていることもこうした傾向に拍車を掛けている。

 韓国最大の精製業者を保有するSKイノベーション<096770.KS>の広報担当者は「ロシア産原油は輸送時間の短さや価格の安さから、われわれにとって大変魅力的だ」と話す。

 中国、日本、韓国を合わせた原油輸入量は日量1200万バレルを超えており、世界最大の消費国である米国の輸入量の倍となっている。

 トムソン・ロイター・オイル・リサーチ&フォーキャスツのデータによると、ロシアの中国向け輸出は2013年以降で2倍強となっており、トップサプライヤーであるサウジアラビアと肩を並べている。両国とも昨年末までに、月間400万トン(日量約100万バレル)超を供給している。

「茶壺」の台頭

 ロシアは4900キロにおよぶ東シベリア太平洋(ESPO)石油パイプラインがある中国での躍進が目覚ましい。昨年のいくつかの月では、最大の輸出国の座をサウジから奪った。中国はまた、ドイツに代わって最大のロシア産原油輸入国となった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む

ビジネス

SOMPO、農業総合研究所にTOB 1株767円で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 9
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 5
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中