最新記事

経済制裁

北朝鮮のシリア・エジプト武器コネクションが制裁対象に

アメリカが対北制裁を強化、新たな制裁対象には北朝鮮の兵器ビジネスを担う秘密警察・国家安全保衛部の要員2人が含まれている

2016年3月18日(金)16時49分
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト) ※デイリーNKジャパンより転載

兵器ビジネスの得意先 武器を販売するなど、シリアとの関係は密接で、シリアのアサド大統領と金正恩第一書記は頻繁にエールを交換し合ってきたとされる(シリアのダマスカスに到着した北朝鮮の金永南・最高人民会議常任委員長を迎えるアサド大統領、2002年) Sana-REUTERS

 オバマ米大統領は16日、北朝鮮への制裁を強化するため新たな大統領令を出した。1月6日の核実験や2月7日の事実上の長距離弾道ミサイル発射を受けたものだ。財務省はこれを受け、北朝鮮の2個人・15組織・船舶20隻を新たに制裁対象に指定した。

 中でも注目されるのは、個人として制裁指定された2人の人物の素性だ。いずれも秘密警察・国家安全保衛部の要員であり、それぞれの駐在国であるシリアとエジプトで、北朝鮮の武器取引を担う「朝鮮鉱業貿易開発会社(KOMID)」のビジネスに携わっているという。

 なぜ、彼らに対する制裁指定が重要なのか。理由はふたつある。ひとつは、シリアとエジプトが北朝鮮の兵器ビジネスの得意先であるため。もうひとつは、米国が北朝鮮に対する独自制裁で、「セカンダリーボイコット」(第三者制裁)条項を盛り込んでいるためだ。

 北朝鮮はかつて、エジプトとシリアに空軍を派遣。中東戦争でイスラエル軍と戦っており、その後も両国に様々な武器を販売してきた。とくにシリアとの関係は密接で、金正恩第一書記とアサド大統領は頻繁にエールを交換し合っている。

(参考記事:第4次中東戦争が勃発、北朝鮮空軍とイ スラエルF4戦闘機の死闘

(参考記事:北朝鮮の弾道ミサイル開発は空軍のエジプト派遣から始まった

 米国は昨年12月にも、シリアやロシア、ベトナムで活動する北朝鮮の銀行幹部を制裁に指定している。いずれも北朝鮮の友好国であり、これらの国が制裁の「抜け穴」になっているものと疑ったのかもしれない。

 しかし、このときと比べても、今回の新たな制裁指定は重要だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アラブ4カ国、米・イランに外交圧力 攻撃阻止へ48

ビジネス

米11月輸入物価、9月比0.4%上昇 政府閉鎖影響

ワールド

米政権がイランデモ弾圧巡り制裁、国家安保評議会や革

ビジネス

米ブラックロック第4四半期、運用資産が過去最高の1
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 3
    イランの体制転換は秒読み? イラン国民が「打倒ハメネイ」で団結、怒りの連鎖が止まらない理由
  • 4
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 8
    年始早々軍事介入を行ったトランプ...強硬な外交で支…
  • 9
    母親「やり直しが必要かも」...「予想外の姿」で生ま…
  • 10
    中国、欧米の一流メディアになりすまして大規模な影…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中