最新記事

サウジアラビア

シーア派指導者ら47人処刑、宗派間の対立悪化も

イランの最高指導者ハメネイ師は抗議のメッセージをWebに掲載

2016年1月3日(日)18時18分

1月2日、サウジアラビアは、国内で爆弾などによる攻撃に関与した47人の死刑を執行した。写真は処刑されたイスラム教シーア派の有力指導者ニムル師の肖像画を手に抗議する人。バーレーンで撮影(2016年 ロイター/Hamad I Mohammed)

 サウジアラビアは2日、国内で爆弾などによる攻撃に関与した47人の死刑を執行した。大半は国際武装組織「アルカイダ」の攻撃に関与したスンニ派の過激派だが、サウジ王室に批判的だったイスラム教シーア派の有力指導者ニムル師も含まれており、宗派間の対立が国内外に広がる可能性がある。

 目撃者によると、サウジ東部州カティフではニムル師の処刑を受けて少数派のシーア派住民ら数百人が集まり、デモ行進を行った。

 今回の集団処刑は1980年以来数十年ぶりの規模。

 処刑の対象となったのは、2003─06年に国内でのアルカイダによる攻撃に関与したとされるスンニ派が中心。このほか、11─13年に反政府抗議運動を行ったとされるニムル師らシーア派も含まれる。

 シーア派が多数を占めるイランの最高指導者ハメネイ師のウェブサイトは、サウジの死刑執行者の隣に過激派組織「イスラム国」の黒い覆面の男、通称「ジハーディ・ジョン」を並べた写真を掲載し、「違いはあるのか」とするキャプションを添えた。

 また、同国のイスラム革命防衛隊は「テロリストを支持する反イスラム政権は、激しい報復によって転覆するだろう」とし、今回のサウジの動きを非難した。

 欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表はニムル師の処刑について、中東地域で宗派間の対立を一段と悪化させ、「危険な結果」を招く恐れがあるとの懸念を示した。

 

[リヤド 2日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米雇用、11月予想上回る+6.4万人・失業率4.6

ビジネス

ホンダがAstemoを子会社化、1523億円で日立

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

トランプ氏がBBC提訴、議会襲撃前の演説編集巡り巨
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中