最新記事

軍事同盟

ウクライナ危機で問われるNATOの意味

アフガニスタン後の存在意義を見失いかけていたNATOをロシアが救う?

2014年4月16日(水)15時11分
ポール・エイムズ

団結を保てるか ウクライナ危機はアフガニスタンやコソボより大きな試練になる David Mdzinarishvili-Reuter

 13年に及ぶアフガニスタンでの任務が終わりに近づき、NATOは新たな役割を模索していた。戦争の長期化と多大なコストは厭戦ムードを生み、域外地域における危機管理という冷戦後のNATOの役割に疑問を投げ掛けた。NATOの存在意義が問われていた。

 そんなNATOを救ったのはロシアだ。ロシアがウクライナ南部クリミア半島に侵攻したおかげで、NATOは原点に返れた。「NATOの最大の責務は加盟国の領土と国民の防衛」だと、先週の記者会見でアナス・フォー・ラスムセンNATO事務総長は語った。

 NATOはこの日の外相理事会でポーランド、ルーマニア、バルト3国など東欧の加盟国の防衛強化を決定。ロシアとの軍事および民間協力を全面停止し、「ウクライナ軍の治安能力向上」に向けた支援強化も決めた。

 しかし具体的な方法については意見が分かれたままだ。アメリカはポーランドとバルト3国に戦闘機を配備しているが、ロシアと国境を接するこれらの国々はより強い措置を望んでいる。一方、ドイツ、オランダ、イタリアなどは外交による
緊張緩和を模索中だ。

 ポーランドは領内に1万人規模のNATO軍を駐留させるよう求めている。ポーランドは99年、ハンガリー、チェコと共にNATOに加盟。04年には旧ソ連圏の他の7カ国がNATOに加盟した。こうしたNATOの東方拡大にいら立つロシアをなだめるため、NATOは新規加盟国への戦力配備を自制することに合意した。

 しかし今回、ロシアがクリミアを占領し、ウクライナとの国境付近に約4万人の兵力を集結させたことで、合意はほごになったと一部の加盟国は考えている。「ポーランドは条約の文言だけでなくNATO軍によって守られるべきだ」と、ポーランドのトゥスク首相は語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

三菱重、通期の純利益を上方修正 一転して増益予想に

ビジネス

CKハチソン、パナマ相手に仲裁手続き 港湾契約無効

ワールド

エヌビディアAI半導体、中国向け販売停滞 米国家安

ワールド

メキシコ、官民連携で3000億ドル超のインフラ投資
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 3
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 7
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 8
    最長45日も潜伏か...世界が警戒する「ニパウイルス」…
  • 9
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 10
    ICE射殺事件で見えたトランプ政権の「ほころび」――ア…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 8
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 9
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 10
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中