最新記事

欧州政治

地中海のEU加盟国が市民権を売り出し

市民権販売で歳入増を目指すマルタ。お金さえ払えば手続きも簡単

2013年11月14日(木)14時31分
ファイン・グリーンウッド

夢の生活 地中海沿いの美しい島国マルタの市民にはEU域内の自由な移動も保障される YouTube

 EU(加盟国)のマルタが市民権の販売を始める決定をした。86万5000ドルを払えば誰でもマルタ市民になれる。歳入増と裕福な市民の獲得がマルタ政府の狙いだ。

 ジョセフ・ムスカット首相は、この新しい構想によってマルタへの投資を奨励したいとし、1年目には45人、3000万ユーロ(約4000万ドル)を獲得すると期待している。

 島国のマルタはEU加盟国として、国境を検問を廃止する「シェンゲン協定」に加盟している。マルタ市民になることで、EU域内の移動の自由を保障されることになる。欧州委員会は加盟国が市民権を販売するのに完全に国家主権の問題だと結論付けていると、地元の英字紙であるマルタ・トゥディは報じている。

市民権を買える国はほかにも

 マルタの市民権は、18歳以上であれば誰でも応募できる。国内で投資を行ったり、家を購入する必要もない。

 地中海に浮かぶマルタは、アメリカのワシントンDCの2倍ほどの広さで、現在の人口は41万1277人。経済は石炭岩の輸出などや製造業に頼り、観光業も主要な産業だ。12年には144万人の観光客が訪れている。

 マルタのように市民権を売り出している国はほかにもある。カリブ海のセントクリストファー・ネイビスはたったの25万ドルで市民権が得られる。オーストリアでは投資という手段か、または「オーストリア共和国の代わりに特段のサービスを提供する」ことで市民権を得ることができる。だがマルタほど手続きが簡単な国は他にない。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ウォン安と不動産価格上昇、過剰流動性だけが背景では

ビジネス

12月の豪消費者信頼感指数、悲観論が再び優勢 物価

ビジネス

ベトナムEVビンファスト、対インドネシア投資拡大へ

ワールド

EUメルコスルFTAに暗雲、仏伊が最終採決延期で結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 8
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中