「メーガン妃のスタッフいじめ」を最初に報じたイギリス人記者が見た、「メーガン妃問題」とは?
Courtiers: The Hidden Power Behind The Crown
Toby Melville-REUTERS
<「サセックス・サバイバーズ・クラブ」とは? メーガン妃の「問題のすり替え」とは? ヴァレンタイン・ロウ記者の話題書『廷臣たちの英国王室──王冠を支える影の力』より>
メーガン妃によるケンジントン宮殿スタッフに対するいじめ疑惑を2022年に最初に報じたのが、「タイムズ」紙のヴァレンタイン・ロウ記者だった...。王室ファンたちが注目してきた、ロウ記者による話題書『廷臣たちの英国王室──王冠を支える影の力』(作品社)がついに邦訳で刊行。
ロウ記者は「メーガン妃問題」に関してどのような証言を得て、どのように見てきたのか? 綿密な調査と貴重な証言の数々からベールに包まれたイギリス王室の真の姿、そしてイギリス現代史が浮かびあがる...。第14章「出口戦略」より一部抜粋。
アフリカ外遊のころ、メーガンとシニアアドバイザーらとの関係は、急速に悪化していた。アドバイザーは、自分たちの助言は何も聞いてもらえないものだと感じていた。そのため、彼らの仕事は、アドバイザーがいてもいなくても変わらないものになった。
信頼と率直な意見交換は、疑心暗鬼の場に取って代わった。関係が完全に崩壊するころには、ハリーとメーガンのチームは(自称サセックス・サバイバーズ・クラブSussex Survivors' Clubで、中心メンバーはサム・コーエン、サラ・レイサム、オーストラリア人で報道担当秘書官補のマーニー・ガフニー)、メーガンの蔑称を考え出した。
それが「自己陶酔型ソシオパス」だ。彼らは事あるごとに「翻弄された」という表現を繰り返し使った。
ここには重大な疑問がある。メーガンの助けを求める叫びが、彼らを「翻弄」するという行為に表れていたのではないか。おそらく正解は分からない。
メーガンがオプラに心の痛みを吐露している様子や、もうこれ以上生きていたくないと表現している様子は、見ている側もつらくなる。ほとんどの人は、このような形で絶望を表現しているのだから、その話が真実に根ざしていないわけがないと考えるだろう。
しかしまともな考えの人たち(メーガンが正しいと信じていて、何とか立ち直ってもらいたいと考えている人たち)は、いったん正気に戻ると、助けを求める彼女の心からの訴えさえ、ひょっとしたらはっきりした目的のある用意周到な戦略の一環なのではないかと疑い始めた。
その目的とは王室離脱である。つまり、メーガンは何らかの証拠を残したかったのだ。証拠があれば、王室を離れるときが来たときに、こう言える――「ほら、ごらんなさい、こんなこともあんなこともあったのに、私を助けてくれませんでしたよね。もう王室を離れるしか選択肢はないわ」
これはあまりにも穿(うが)った見方だろうか? そうかもしれない。でも、実に悲しい真実だが、メーガンとアドバイザーたちの関係があまりにもこじれたため、彼らが信じたのはこのような筋書きだった。さらにその先を行く見解もある。あくまでも単なる意見であり、現場で働いていた人の論理にすぎない。
とはいえ、「メーガンと働く」とはどういうことなのか、彼女の下で働いた人たちがどのようにその経験を振り返るのかが手に取るように分かる考え方だ。