英語にもパーソナルトレーナーを──言語習得の専門家チームによる英語ジム

この春、上智大学大学院の修士課程を修了し、恵学社に新卒入社した種茂真大氏。社会言語学や第二言語習得を学び、英語教授の国際資格TESOLも有しているが、他の企業には専門性を評価されず悔しい思いをしたという

日本で英語教育の専門性を発揮できる職場は少ない

こうした科学的根拠に基づくアプローチは、本物志向の受講生だけでなく、英語教育に関する仕事を志す人々にも評価されている。

日本では大学・大学院で英語教授法や言語学を学んでも、その専門性を発揮できる職場は極めて限られている。中学校や高校の教員の場合、受験対策を理由にした訳読偏重の校内方針に縛られることが多く、専門スキルを直接的に指導に反映させるのは難しい。民間の英会話スクールでも、所定のカリキュラムから外れた指導をする余地は少ないといわれる。

そんな中、英語教育に関する専門性と情熱が要求されるENGLISH COMPANYは、稀有な存在として注目を集めている。

この春、上智大学大学院の修士課程を修了した種茂真大（たねも・まさひろ）氏も、その魅力に引き寄せられた1人だ。

種茂氏は上智大学と大学院、さらにカナダのマギル大学で社会言語学や第二言語習得を学び、英語教授の国際資格TESOLも有している。しかし、就職活動では専門性を活かせる企業となかなか出合えず、一時は英語教育を諦めることも考えた。それだけに、ENGLISH COMPANYの求人を目にしたときには、「ここだ！と思って震えました」と振り返る。

研修期間を経て、先輩トレーナーの指導の下でパーソナルトレーナー・デビューを果たした種茂氏。英語力が伸び悩んでいるようにみえる受講生に、第二言語習得のU字型発達曲線（知識量が増加するにつれて一時的に間違いが増えるが、その後、正確かつ創造的な発話が出来るようになる）について説明して励ますなど、専門知識を活用できる場面が多いという。「学んできたことを実践に応用し、受講生の助けになれることがとても楽しいです」

「英語教育オタク」の先輩たちからの刺激も、学びの宝庫だ。「トレーナー同士の経験の共有や蓄積が進み、教材や指導法の改良点について続々と意見が上がってくる」と、教務を統括する田畑氏も言う。最近では指導スキルに一段と磨きがかかり、3カ月ではなく2カ月で結果を出すトレーナーも増加している。

教育の分野に「魔法のようなイノベーション」はあり得ない

英語教育の世界には「科学的」「これだけで話せるようになる」などと謳ったサービや教材が数多くあるが、玉石混交であることは否めない。

「教育の分野では、一発で全ての問題が解決する魔法のようなイノベーションはあり得ない」と、ENGLISH COMPANYを運営する恵学社の岡健作・代表取締役はそうした風潮に懸念を示す。

「ただし、言語習得の知識を頼りに無駄な回り道を避けることができれば、学習の生産性は向上する。コンテンツにこだわりすぎることはビジネス的には非効率だと言われるかもしれないが、私たちは教育一筋にやってきた。専門性をもつ人がその知識を活かして活躍できる場を作り、それを社会に還元してきたい」

進化を続ける英語教育のプロ集団は、これからも悩める英語学習者たちに希望の光をもたらしてくれることだろう。

Text：井口景子

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