最新記事
EV

自動車メーカー、トランプ新政権の関税やEV政策転換に身構え

2024年11月7日(木)17時27分
電気自動車の充電器(米カリフォルニア州)

11月6日、米大統領選で勝利したトランプ前大統領はメキシコやその他の国々からの輸入車に新たな関税を課すとともに、電気自動車(EV)を推進する多くの既存政策を撤回する可能性があり、自動車メーカーは身構えている。写真は電気自動車の充電器。米カリフォルニア州 で昨年10月撮影(2024 ロイター/Mike Blake)

米大統領選で勝利したトランプ前大統領はメキシコやその他の国々からの輸入車に新たな関税を課すとともに、電気自動車(EV)を推進する多くの既存政策を撤回する可能性があり、自動車メーカーは身構えている。業界団体や経営幹部らが明らかにした。

トランプ氏は環境保護局(EPA)と運輸省の自動車関連規則について、就任初日に撤廃に着手する計画を示している。EVの税額控除などの優遇措置については縮小または廃止を検討中だ。


 

こうした規制変更により、自動車メーカーはより収益性の高いガソリンエンジン搭載のスポーツタイプ多目的車(SUV)やトラックを製造しやすくなる可能性がある一方、数十億ドルに上るEV用電池やEV製造への投資の先行きは不透明になる。

EVのテスラや電池メーカーのLGなどが所属するゼロエミッション輸送協会は6日、トランプ氏と協力する用意があると表明。「今後4年間は、これらの技術が今後何世代にもわたって米国の工場で米国の労働者によって開発、採用されるのを確実にする上で極めて重要だ」と述べた。

テスラ株は6日に15%近く急騰した。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)とトランプ氏との親密な関係によって同社が恩恵を受けるとの期待からだ。

米トラック協会は同日、EPAの厳しい排出基準を「技術的に達成可能で、我々の重要な産業の運用実態を考慮した」基準に置き換えるようトランプ氏に要請した。

トランプ氏は2019年に行ったのと同様に、カリフォルニア州が独自の自動車排ガス規制を設定する権限を剥奪する見通し。バイデン大統領はこの権限を復活させている。またトランプ氏は数十億ドルに上るEV充電補助金の使い道についても決定する。

トランプ氏は、メキシコからの輸入車に200%以上の関税を課すと繰り返し警告しており、アジアや欧州の自動車にも課税する可能性がある。

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ダウ436ドル安、CPIや銀行決算受

ビジネス

NY外為市場=ドル急伸し148円台後半、4月以来の

ビジネス

米金利変更急がず、関税の影響は限定的な可能性=ボス

ワールド

中印ブラジル「ロシアと取引継続なら大打撃」、NAT
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 5
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 6
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 7
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 8
    「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    歴史的転換?ドイツはもうイスラエルのジェノサイド…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中