最新記事

米大統領選

トランプ人気は本物か、ダボス参加の金融エリートらが警戒

新たなポピュリズムの怒りが共和・民主両党に吹き荒れ、米国の政治環境を変えると指摘する声も

2016年1月23日(土)12時28分

1月21日、「信じられない」「恥ずかしい」「危険」──。これらは、ダボス会議に出席している金融業界のエリートたちが、米著名実業家ドナルド・トランプ氏(写真)を評する言葉の一部だ。米ラスベガスで撮影(2016年 ロイター/David Becker)

 「信じられない」「恥ずかしい」「危険」──。これらは、スイスのリゾート地ダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席している金融業界のエリートたちが、米著名実業家ドナルド・トランプ氏を評する言葉の一部だ。

 米大統領選の共和党候補指名争いでトップを走るトランプ氏の選挙活動は失敗に終わると一部でみられている一方、同氏の指名獲得は、もはや考えられないことではないとの見方が多勢を占めている。

 民主党の候補指名争いも、サンダース上院議員がクリントン前国務長官を追い上げている。過熱する大統領選は、その結果がどうであれ、新たなポピュリズムの怒りが共和・民主両党に吹き荒れ、米国の政治環境を変える可能性があると指摘する声も聞かれる。

 トランプ氏の国家主義的な発言、特にイスラム教徒による米国への入国禁止や、外国製品の関税引き上げといった同氏の提案は、ダボス会議のようなイベントに集まる自由貿易を支持する人たちの心には決して響かない類のことだと言える。

 チリのバルデス財務相は、トランプ氏の発言について「明らかに統合を歓迎していない」とし、「チリでは、アメリカ大陸の統合は良いことだという根強い考え方がある。それがモノであろうと、金融であろうと、そう、人であろうとだ。だから私は、もっと歓迎されるような発言を聞けたらうれしい」と語った。

 また、かつて米下院院内総務を務め、現在は投資銀行モーリス・アンド・カンパニー副会長のエリック・カンター氏は、共和党上層部の大半同様、トランプ氏に冷ややかな見方をしている。「トランプフィーバーは、同候補の勝利にはつながらない、持続不可能な現象だ」

 だが、スカイブリッジ・キャピタルのレイモンド・ノルト最高投資責任者(CIO)は、そのような見方は希望的観測のように聞こえると語る。

 「ここ(ダボス)にいる誰もが、トランプ氏が候補に選ばれるなんてことはあり得ないと言う。だが私はそれを耳にすると、実際にそれは起きるような気がする」

主流化

 ニュースサイト「ハフィントン・ポスト」創設者のアリアナ・ハフィントン氏は、同サイトでは当初トランプ氏を政治欄ではなく、エンタメ欄で取り上げることを決めたが、イスラム教徒の米入国禁止発言を受け、その方針を覆した。あまりに「危険」で看過できないという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU、グリーンランド支持 国際法違反容認せず=コス

ワールド

トランプ氏、グリーンランド購入巡り活発な協議 NA

ワールド

ゼレンスキー氏、トランプ氏との会談を希望 「安全の

ワールド

米、ベネズエラ安定化・復興へ3段階計画 国務長官が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 5
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 6
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 7
    公開されたエプスタイン疑惑の写真に「元大統領」が…
  • 8
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 9
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 10
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 10
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中