コラム

「トランプ現象」を掘り下げると、根深い「むき出しのアメリカ」に突き当たる

2016年03月11日(金)16時30分
「トランプ現象」を掘り下げると、根深い「むき出しのアメリカ」に突き当たる

 記事の冒頭にこちらの写真を貼っておく。後ほど解説するので、数秒間見つめていただきたい。

 ドナルド・J・トランプ氏を理解するには、まず彼の熱烈な支持者の心境に寄り添うことが必要だ。アメリカのリベラル系メディアはトランプ氏の大躍進に焦りを隠せず、来る日も来る日もひたすらこき下ろす記事を発信している。

 だが、ただ「おぞましい」「明らかな嘘を付いている」「支離滅裂な演説をする」「まったく実現不可能な公約を口走っている」「暴言がひどい」と羅列しているだけでは、トランプ氏の破壊力に太刀打ち出来ない。それどころか次にトランプ氏が仕掛ける扇動に対してあらかじめ免疫をつけることもできない。大手メディアや共和党のエスタブリッシュメントがトランプ氏を「許しがたき、恥ずべき存在」だと非難すればそれだけ、同氏の支持者は熱狂するからだ。「ざまを見ろ」と。

 この支持者たちは誰なのか?なぜ溜飲を下げているのか? 表面的な「トランプ現象」から、より地面の奥にあるレイヤーに向かって掘削していくと、あまり見たことのない地層に突き当たる。裸のアメリカと呼んでもいい。そのむき出しのアメリカを理解する上で鍵となる人物がいる。1968年の大統領選に独立系候補として出馬したアラバマ州知事、ジョージ・ウォレス氏だ。

 ニューズウィーク英語版が「トランプとジョージ・ウォレスの人種差別的な亡霊」という見出しでタイムリーな記事を発信している:

 Trump and the racist ghost of George Wallace(Newsweek)

 ニューズウィークによれば、かつて人種平等に強く反対していたのは民主党だった。白人と黒人を区別することこそが、大多数の白人労働者の雇用と給料を保証する一番の方法だと考えられていたのだ。言わば「公序良俗を守るための差別」だった。しかし第二次大戦後、黒人の公民権を求める運動は次第に高まり、これが南部社会に強い亀裂を生みつつあった。そこにポピュリスト政治家として飛び込んだのがジョージ・ウォレスだった。

プロフィール

モーリー・ロバートソン

日米双方の教育を受けた後、1981年に東京大学に現役合格。1988年ハーバード大学を卒業。国際ジャーナリストからミュージシャンまで幅広く活躍。スカパー!「Newsザップ!」、NHK総合「所さん!大変ですよ」などに出演中。

ニュース速報

ビジネス

米国株式市場はS&P500が最高値、FOMC議事要

ビジネス

米経済の落ち込み一時的、年内のバランスシート縮小も

ビジネス

インタビュー: 地銀と連携、システム共通化で費用削

ビジネス

トランプ氏口座の情報、米民主党がドイツ銀に提供要求

MAGAZINE

特集:トランプの陰謀

2017-5・30号(5/23発売)

アメリカを再び揺るがす大統領側近たちの策謀──。「ロシアゲート」はウォーターゲート事件と同じ展開になるか

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    ヤマト値上げが裏目に? 運送会社化するアマゾン

  • 2

    「パスワードは定期的に変更してはいけない」--米政府

  • 3

    アリアナコンサートで容疑者拘束、死者22人で不明者多数

  • 4

    メラニア夫人が手つなぎ「拒否」、トランプは弱って…

  • 5

    キャサリン妃妹ピッパのウェディング、でも主役は花…

  • 6

    米政府からまたリーク、マンチェスター自爆テロ容疑…

  • 7

    重さ64グラム!世界最小かつ最軽量の人工衛星をイン…

  • 8

    ベネズエラほぼ内戦状態 政府保管庫には大量の武器

  • 9

    北朝鮮のサイバー攻撃専門「180部隊」 各国の銀行か…

  • 10

    ニクソンより深刻な罪を犯したトランプは辞任する

  • 1

    ヤマト値上げが裏目に? 運送会社化するアマゾン

  • 2

    トヨタとホンダをまねた中国自動車メーカーが躍進!

  • 3

    「パスワードは定期的に変更してはいけない」--米政府

  • 4

    初外遊の憂鬱、トランプはアメリカ料理しか食べられ…

  • 5

    アリアナコンサートで容疑者拘束、死者22人で不明者…

  • 6

    「これでトランプを終わらせる」マイケル・ムーアが…

  • 7

    共和党はなぜトランプを見限らないのか

  • 8

    トランプ政権のスタッフが転職先を探し始めた

  • 9

    メラニア夫人が手つなぎ「拒否」、トランプは弱って…

  • 10

    トランプのエルサレム訪問に恐れおののくイスラエル

  • 1

    25日に何も起こらなくても、北朝鮮「核危機」は再発する

  • 2

    ディズニーランド「ファストパス」で待ち時間は短くならない

  • 3

    ヤマト値上げが裏目に? 運送会社化するアマゾン

  • 4

    北朝鮮ミサイル実験「失敗」の真相

  • 5

    北朝鮮ミサイル攻撃を警戒、日本で核シェルターの需…

  • 6

    北朝鮮をかばい続けてきた中国が今、態度を急変させ…

  • 7

    性的欲望をかきたてるものは人によってこんなに違う

  • 8

    シャチがホホジロザメを餌にし始めた

  • 9

    性科学は1886年に誕生したが、今でもセックスは謎だ…

  • 10

    ニクソンより深刻な罪を犯したトランプは辞任する

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

日本再発見 「外国人から見たニッポンの不思議」
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 別冊

0歳からの教育 知育諞

絶賛発売中!