コラム

南米2大国の「共通通貨」構想...チラつく中国の影と、国際情勢における意味を読み解く

2023年02月08日(水)11時49分

背後にちらつく中国の影

2010年には0.5%程度だった人民元のシェアが22年には3.5%まで急上昇した。世界単一市場であれば、中国が第2位の経済大国となり、人民元取引が多少、増えたところで、ドルやユーロの地位が脅かされることはあり得なかったが、経済のブロック化が進むとなると話は変わる。地域経済圏における基軸通貨としてドルやユーロ以外が選択される可能性は高まっており、今回の共通通貨も同じ文脈で解釈したほうがよい。

ちなみにルラ大統領は、南米南部共同市場と中国の自由貿易協定(FTA)推進に意欲を示しており、今回の共通通貨構想の背後にも中国の影がちらつく。ブラジルもアルゼンチンも共に左派政権であり、一連の協議をアメリカに対する牽制球にしたいとの思惑を持っている。今回の動きは実務面での可否の問題というよりも、国際政治における覇権争いの一部と捉えるべきだろう。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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